兵庫県加東市の岩根正(いわね・ただし)市長がこのほど、ラジオ関西の生放送に出演し、「“どこにあるねん加東市”と言われるほど、場所がわからないという声を多く聞く。一度来ていただけると楽しめて、またもう一度行こうと思えるまち」と、市の魅力について語った。

 加東市は、兵庫県中央部のやや南寄りに位置する、人口約4万人のまち。2006(平成18)年に、旧社(やしろ)町、滝野町、東条町が合併して加東市となった。中国自動車道の滝野社インターチェンジ、ひょうご東条インターチェンジがあり、大阪や京都、神戸、姫路、明石などからそれぞれ車で1時間という、交通アクセスの良さも魅力。

 加東市には「知る人ぞ知る、遊べる場所が結構ある」と話す岩根市長のおすすめスポットは、2021(令和3)年にオープンした、トリックAR(拡張現実)アートの美術館「加東アート館」。写真や動画で不思議なシーンをおさめることができる施設で、岩根市長は「私も恐竜に火を吹きかけられた(ように見える写真が撮れた)」と微笑んだ。毎年4月に作品を入れ替えており、2023年度は深海魚、動物、絵画、鉄道とバラエティ豊かな作品がそろい、トリックARの数では国内最大となった(加東アート館ホームページより)。2024年度は4月11日にリニューアルし、新作トリックアートやARがずらりと展示されている。これまでになかったプロジェクションマッピングも登場した。

 また「自転車スポーツのまち」でもあり、市内にある兵庫県立播磨中央公園には自転車スポーツのための施設が整備されている。ツーリングやロードレース、自転車競技のBMXなど、初心者から競技者まで、幅広く自転車スポーツを楽しむことができる。

 加東市は子育て支援に力を入れている。妊娠届出、出生届出の際にそれぞれ5万円の支援が受けられる「出産・子育て応援ギフト」、生後5か月から満1歳まで、紙おむつなどの赤ちゃん用品が届く「かとうすこやか定期便」、1歳から5歳(満6歳の誕生月)までの子どもがいる世帯には一人当たり年額3万円が交付される「子育て世帯スマイル交付金」制度がある。また、2024年度には小中学校の給食費が無償化され、18歳まで医療費無償化、国の政策で高校生まで児童手当が支給されると、妊娠期から高校卒業まで切れ目のない支援を受けられる。

 岩根市長は「支援を手厚くするだけでなく、隙間を埋めることで、常に何らかの支援を入れられる形を作れた」と胸を張る。また「加東市の出生率は1.72。兵庫県内でトップクラス」と述べた上で、「若い人に選んでもらって、ここ30年ほど人口を維持している。結婚するなら加東市、子育てするなら加東市と思っていただいているのは嬉しいこと」と話した。

 加東市では「加東だからこその教育」を打ち出し、市内の中学生が、プロのサッカー選手やバスケットボール選手らから指導を受ける「プロから学ぶ“かとう夢授業”」を行っている。卓球のオリンピック金メダリスト水谷隼さんや、箱根駅伝で7回の総合優勝に導いた青山学院大学陸上競技部監督の原晋さんの講演なども行われた。岩根市長は「子どもたちがどんどん伸びる時期に、プロの視点を入れて、夢を実現してもらいたい」と話した。

 加東市内には、2023年夏の高校野球甲子園大会まで3季連続出場した県立社高校があり、プロゴルファーの蟬川泰果選手も加東市出身。岩根市長は「加東には闘竜灘(とうりゅうなだ)があり、鯉のぼりも作っている。鯉が滝を登ると竜になる“登竜門”の語源にピッタリ。社高校も、蟬川プロも“登竜門”のような存在。夢を持って加東でステップアップして、羽ばたいていく。そんなまちになりつつある」と語った。

 その闘竜灘では、5月1日に鮎釣りが解禁される。5月3日には闘竜灘と五峰山光明寺を会場に「花まつり・鮎まつり」が、5月5日には国宝・朝光寺で「鬼追い踊り」が開催されるなど、歴史と伝統を感じられる催しも。

 秋の催し物も注目で、9月には加東市産の酒米・山田錦を使って作られた全国の日本酒が集まる「加東市“山田錦”乾杯まつり」が開かれている。岩根市長は「東は宮城県から西は山口県まで、全国から20の酒蔵に集まっていただいている。全国制覇のつもりで、全ての酒蔵の日本酒を味わってもらえたら」と話した。

 岩根市長は「“どこにあるねん加東市”と言われるほど、場所がわからないという声を多く聞く。一度来ていただけると楽しめて、またもう一度行こうと思えるまち。思った以上に住みやすく、思った以上に遊べる場所がたくさんある。本当に面白いまちなので、ぜひ一度来てみてほしい」と、締めくくった。
 
 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年3月27日放送回より