群馬県桐生市新里町関でブドウを栽培し、桐生産ワインの製造を目指す「桐生新里ワイン・ヴィレッジ」(石渡道代代表)の活動が2年目を迎えた。昨年植えた1000本超は順調に育ち、計画を1年前倒しして年内に醸造を始める予定。新たな試みとして、日本一暑い桐生の気候に合った白ブドウ品種「シュナン・ブラン」の栽培を開始。同市と交流を深めている南アフリカ・レソト王国で盛んに栽培されている品種で、植栽には同国関係者を招いた。石渡代表は「国際親善の証しとなる、おいしいワインを造りたい」と意気込む。

 耕作放棄地の有効活用と6次産業化による地域活性化を目的に、昨年3月に赤ブドウ、白ブドウを2種ずつ植栽した。同市では昨年、猛暑日が国内最多を更新する46日を記録するなど夏の酷暑を考慮し、より適した品種を模索。専門家から薦められたシュナン・ブランは、レソトで栽培されていることに縁を感じ、在日本大使館に植栽への参加を打診したところ快く応じてくれた。

 3月に行われた同品種など苗木300本の植え付けには、ママスーファ・ソーリ参事官が駆けつけ、同団体の20人らと作業に汗を流した。参事官は「ワインを通して、桐生とレソトが交流できたら良い」と期待した。石渡代表は「この縁を大事にしたい。完成したワインをレソトに送って味わってもらいたい」と話していた。

 今秋は1.6トンの収穫の見込んでおり、長野県のワイナリーに委託してワインを醸造する予定。将来的には製造設備を備えた東毛地域初のワイナリー設置を目指している。