日本人ドライバーの角田裕毅(RB)は、彼はF1を始めヨーロッパを舞台に活躍したいと思う同郷ドライバーは“3つの壁”に直面することになると考えている。

 1987年に中嶋悟が初めてF1にフル参戦を果たして以降、多くの日本人がF1に挑戦してきた。日本人としての決勝レースでの最高成績は鈴木亜久里、佐藤琢磨、小林可夢偉が記録した3位。2位表彰台や優勝、そしてチャンピオンという夢は角田をはじめ今後の日本人ドライバーに託された。

 そして2014年に小林がケータハムから参戦してから角田が2021年にF1デビューを果たすまでは、暫く日本人不在のシーズンが続いた。その間も多くの日本人ドライバーがヨーロッパへ挑戦したがF1フル参戦のチャンスを掴むことはできなかった。

 日本からF1で活躍できるドライバーがあまり出てこない背景を尋ねられた角田は、直面しうる3つの壁があると指摘した。

「まず、ヨーロッパからは(日本が)とても遠いということがあります」と角田は言う。

「主にスーパーライセンスを取得するためにジュニアカテゴリーからヨーロッパでレースをすることになると思います。そしてF1チームのできるだけ近くにいて、注目を集める、興味を持ってもらいたいんです」

「またレギュレーションのちょっとした違いもあると言えます。ヨーロッパと日本ではシングルシーターを始めることができる年齢が違います」

「日本では16歳の誕生日からスタートすることができますが、ヨーロッパでは14歳から始めることができます。2年の差があるので、それで既にスタートが遅れています。そのため、ヨーロッパのドライバーと競うためにはヨーロッパへ行かなければいけません」

「それに言葉の問題もあります。僕みたいに、日本人は英語があまり上手ではありません。だからコミュニケーションを上手く取るのが難しいですし、例えばクルマのセットアップで具体的に何をして欲しいかを伝えることも難しいんです」

「こういうことには少し時間がかかります。それにF3ではすぐに自信をつけたいのに、フリー走行が1回しかなくて、そのまま予選に突入することになります。だから難しいんだと思います」

 また、角田のF1での活躍が次世代の日本人ドライバーを触発していると思うか? との質問に対して彼は次のように答えた。

「そうだと良いですね。F2では多くの日本人ドライバーが走ってきました。今年はトヨタのように違うメーカーからの日本人ドライバー(宮田莉朋)もいます」

「多くのドライバーがヨーロッパのレースに挑戦し、可能な限りベストなチャンスを掴めるのは良いことだと思います。もちろん、それを見られるのは良いことですし、また別のドライバーが見られると良いですね」

 F1で活躍できる日本人ドライバーの少なさに関しては、日本のスーパーフォーミュラを経験したピエール・ガスリー(アルピーヌ)にも質問が飛んだ。

「ユウキが上手く説明してくれたと思う。主に全てのカテゴリーがヨーロッパにあって、日本を拠点にしていると、日本人ドライバーがヨーロッパへ渡ってF3やF2を戦う姿を目にすることが多くなる。振り返ってみれば、(F1ドライバーには)タクマ・サトウやナカジマ、そしてユウキがいる」とガスリーは語った。

「アメリカ人ドライバーについても同じことが言えるかもしれないね。レースが主にヨーロッパで開かれ、ステップアップしていくということもあるし、ユウキがさっき言ったような理由で、F1で活躍するためにはヨーロッパにいなきゃいけないんだ」