RBのCEOであるピーター・バイエルは、F1日本GPで10位入賞を果たした角田裕毅について、”サムライの精神”を持って、母国グランプリに臨んでいたと語った。

 今季はトップ5チームと下位5チームの間に明確な差があるため、角田が所属するRBにとっては、入賞するのは至難の技である。にもかかわら角田は、オーストラリアGPで7位、日本GPで10位と2戦連続で入賞、予選では3戦連続でQ3進出を果たした……まさに不可能を可能にする活躍を見せている。

 母国で入賞し、決勝日に集まった10万人以上の観客を沸かせた角田について、RBのバイエルCEOは絶賛。サムライの精神で挑んでいるように感じたと語った。

「彼はサムライのような精神を持って、レースに挑んだ。母国の観衆、そしてホンダが見守る前であんな成果を残せたのは、素晴らしい成果だったと思う」

 そうバイエルCEOは語った。

「彼のドライブは完璧だった。彼は必要な時にタイヤをマネジメントし、プッシュしなければいけない時にはプッシュしていた。ピットストップでは、チームから大きな後押しを受けた。彼には、とてもとても満足している」

 F1ドライバーが、母国グランプリで集まったファンの期待に応えるような結果を出すのは、そう簡単なことではない。鈴鹿では、鈴木亜久里(1990年)、小林可夢偉(2012年)とふたりの日本人ドライバーが表彰台登壇を果たしているが、かかるプレッシャーはいかばかりか……。

 しかし角田は精神的にも強くなったと、バイエルCEOは言う。

「彼は精神的に大きな進歩を遂げたと思う」

 そうバイエルCEOは話す。

「冬の間に、彼は肉体的に驚くべき進歩を遂げた。しかし精神的には、今や異なるレベルにいる。彼はこの点に取り組んできており、今や気を散らすのではなく、そこからエネルギーを得ているようだ。それが、彼の素晴らしいドライブに繋がったのだと思う」

 角田はトップ5チームのうちの1台、ランス・ストロール(アストンマーティン)を退け、入賞を果たした。バイエルCEOは、本来ならばRBにとって、鈴鹿は入賞が期待できるようなグランプリではなかったものの、チーム全員の努力により予想以上に前進したことで、10位をもぎ取ることができたと語った。

「おそらく、ランスは予定されていたようなアップグレードの効果を得ることができなかったのだろう」

「一方で我々は、予想していたよりも少し良い状況にあった。実際のところ、ここは我々に向かないサーキットだと思っていたんだ。投入したアップグレードは、今後のレースに向けたものだったしね」

 バイエルCEOはそう語る。

「でも今、チームの全員が0.1秒、いや0.001秒を稼ぐことに集中している。誰もがそれに向けて取り組んでいるんだ」

「おそらくそのことが、トップ10入りを可能にしたんだと思う。それを今回感じたし、我々はそれを誇りに思っている」

「レースをしっかりと組み立ててトップ10に入ったのはこれが初めてだ。何かが起きたり、誰かがミスをしたから得られたというような結果ではないんだ」