開幕5戦を終えて、レッドブルのマックス・フェルスタッペン以外で今季唯一のウィナーとなっているフェラーリのカルロス・サインツJr.は、チームの目覚ましいシーズンスタートには「恐怖が少ない」マシン開発がカギだと語った。

 サインツJr.は今季、サウジアラビアGPを虫垂炎で欠場したものの、オーストラリアGPで優勝。バーレーンGPと日本GPで3位表彰台を獲得して、チームメイトのシャルル・ルクレールとのポイント差をわずか7点に縮めている。

 ルイス・ハミルトンが2025年にメルセデスからフェラーリへと移籍することが決まっており、サインツJr.は2024年末でフェラーリを去ることとなった。白熱する来季ドライバー市場では、サインツJr.がレッドブルやメルセデスへ移籍するとの噂がある一方で、アウディも獲得を目論んでいるようだ。

 今年がフェラーリ最終年と後がないサインツJr.の活躍は際立っており、アプローチやドライビングスタイルの変化を指摘する声もある。

 しかしサインツJr.自身は好調の要因について、今季マシンSF-24のハンドリングが、ピーキーされ知られた昨年マシンSF-23よりもマイルドになったことことを挙げた。

「マシンの好き嫌いは特にないけど、より安定したプラットフォームならラップ中の悪い瞬間も恐怖も減らしてくれる」とサインツJr.は説明する。

「昨年は予選ラップやレース中に、どこから来るのか分からないような危うい瞬間が何度もあった。それが全体的な自信を奪っていった」

「今年はバーレーンでの3日間の冬季テストから、すでにそういう瞬間はほとんどなかった」

 サインツJr.は、予選ラップ中など限界まで攻める際も不安定にならないマシンであれば、ドライバーが信頼して挑戦できると説明した。

「マシンがより安定したプラットフォームになったことで、限界に近づくことができるようになった」とサインツJr.は言う。

「つまり、より自信を持つことができる。より自信を持つことができるようことは、より良いパフォーマンスを発揮することができるということだ」

「ドライビングスタイルやその他もろもろの面では、昨年と全く同じマシンだ。僕らは昨年のマシンと全く同じように走らせている」

 サインツJr.は、ハミルトンの来季フェラーリ加入と自身の離脱をオフシーズン中に知らされることとなったが、2024年はフェラーリ所属4年間で1番良い結果を残すことができていると感じている。ただサインツJr.は自身が絶頂期にあるかどうかは分からないと語った。

「確かにフェラーリ加入以来、最も好調なシーズンスタートだった」とサインツJr.は言う。

「これは秘密ではないと思うけど、これが僕の最高なのか? それは分からない。答えを出すのは難しいよ」

「もちろん、そう見える。表彰台も獲得しているし結果も出ている。でも僕はマクラーレンでもトロロッソ(現RB)でもベストを尽くしてきた」

「変わるのはマシンだ。他よりも良いマシンを持っている年もあれば、レース向きではなくて予選向きのマシンを手にしている年もある。今年は予選とレースの間に良い妥協点があるみたいだ」

「でもそうだね、僕はとても良いレベルでドライブできていると思う。でもこれまでも僕はF1で良いレベルで走れていたと思う。分からないけど……正直なところ、それを考えるには過去9年間の全てを振り返る必要がある」