MotoGPカタルニアGPの木曜日、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)は特別記者会見を行ない、2024年シーズン限りで現役を退くことを明らかにした。

 エスパルガロはCRTマシンでの活躍をきっかけに評価を高めると、2015年にMotoGPへ復帰したスズキのファクトリーライダーとして抜擢された。2年間をスズキで過ごした後はアプリリアへと移籍し、苦しい時期を経験しながらも、現在のドゥカティに次ぐ強力なマシンへと育て上げる重要な役割を果たしてきた。

 そんなエスパルガロの引退の知らせを受け、チームメイトのマーベリック・ビニャーレスや他のチームのライダーがそれぞれコメントを寄せた。

 特にチームメイトのビニャーレスはエスパルガロの引退を予想していなかったという。

「正直に言って、僕はこれを予想していなかったよ。彼が続けることを期待していた。彼はまだ(競争力が)あるんだ。明らかにアプリリア側で指揮を採っているし、サーキットに入ってデータをチェックして、マシンをより良く理解する上で、彼は僕の”旅”において非常に重要な存在なんだ」

「でも、彼が引退すると決めたのなら、そう感じるだけの何かがあったに違いない。僕は彼のチームメイトになることができてよかったよ。僕の隣には何人もビッグネームがいたけど最もタフなチームメイトのひとりだった。彼を倒すのは本当に大変だったよ。彼の新しい人生が、幸運に恵まれることを祈っている」

 そしてエスパルガロとは師弟のような関係にあるホルヘ・マルティン(プラマック)も、引退を惜しんで次のようにコメントした。

「彼は僕の人生において重要な人なんだ。2013年、僕が彼のファンで、僕のことは知らなかったとしても、彼と一緒に写真を撮ったことを覚えているよ」

「そして今では、彼は僕の友人であるだけにとどまらず、兄であり、そして時には僕は彼の息子のようでもあるんだ。アンドラでは彼の家族と一緒に何度も夕食を共にしている。僕は彼が人生でも最も重要な出会いのひとつだったと思っている」

「泣かないなんてのは無理だったけど、彼が家族と一緒にいるために少し立ち止まったことを、僕は嬉しくも思う。でも、これで彼に自転車でついていくのはもっと難しくなるね!」

 なおその他スズキ時代のチームメイトであるアレックス・リンス(ヤマハ)、同じマネージャーが担当するペドロ・アコスタ(GASGAS)、そしてジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)のコメントは以下の通りだ。

■アレックス・リンス
「大きなニュースだった。彼がレースを止めると決めたのなら、それは彼がそうするに値すると考えたからだろうし、とても良かったと思う」

「彼は過去にとても厳しく、そして素晴らしいシーズンを過ごしてきた。彼の歴史は簡単なものじゃない。本当のファイターで、彼はよく戦った。自分の目標を達成するために毎日たくさんのトレーニングを積んでいるんだ。僕も彼のことを誇りに思うし、その将来の幸運を願っている」

■ペドロ・アコスタ
「僕たちはこの4〜5年間、マネージャーが同じで、プロとして関係を持ち始めた。彼がとてもセンチメンタルに話すから泣きそうになったよ」

「とにかく、本当にお疲れ様だ。それにアレイシは自転車やその他にもビジネスをたくさんして人生を楽しんでいることは分かっている。だから彼は新しい生活も楽しみ始めることになるだろうね。彼とMotoGPでのフルシーズンを共にできて、僕はとても嬉しいし、ハッピーだ」

■ジョアン・ミル
「アレイシはここ数年、僕ら全員に教訓を与えてくれた。彼はMotoGPではとても複雑な条件でスタートしたけど、そこで持ちこたえて、競争力のあるマシンを手に入れたときにはとても速かった。そういった状況で長く走り続けることができる人は、そう多くない。彼はそのひとりで、懸命に取り組むライダーだった。この先の彼の幸せを祈っているし、彼はそれに値すると思う」