キーラン・マッケンナ/2・1倍
ロベルト・デ・ゼルビ/5倍
エンソ・マレスカ/6倍
ルベン・アモリム/9倍
トーマス・フランク/11倍
ブレンダン・ロジャーズ/17倍
セルジオ・コンセイソン/17倍
トーマス・トゥヘル/17倍
セバスティアン・ヘーネス/21倍
ジョゼ・モウリーニョ/29倍
ユリアン・ナーゲルスマン/34倍

5月23日現在、『sky bet』はチェルシーの新監督を上記のように予想している。

それにしても、マウリシオ・ポチェッティーノの退陣は意外だった。負傷者の続出に悩んだとはいえ、ヨーロッパリーグの出場権を獲得した。最終5試合は14ゴールを挙げ全勝。20節以降は11勝5分3敗の好成績で2023/24シーズンを終えている。

経験不足を露呈していた若者たちは試合を重ねるごとに成長し、利己的なプレーが確実に少なくなっていた。これもひとえにポチェッティーノのおかげである。

ただ、彼は上層部と意見が合わなかった。あくまでも現場主義。補強に関してもある程度の発言権を欲したポチェッティーノに対し、トッド・ベイリー会長をはじめとする上層部は、いっさいの権限を現場から取り上げたという。

「有能な選手を獲得するからうまく使え。失敗したら現場の責任だ」

好ましくない環境だ。もちろん、ディレクターを中心に据えて強化を図るクラブも少なくはないが、シティはジョゼップ・グアルディオラ監督の、リヴァプールはユルゲン・クロップ監督(もはや前監督だが……)の意見が反映されている。決してトップダウンではない。

したがってベイリー会長も、現場の意見には耳を傾ける必要がある。

さて、冒頭に挙げたオッズが10倍を超えるフランク以下の7名は現実的ではない。マッケンナのもとにサー・アレックス・ファーガソンが訪れ、デ・ゼルビは選手選考に上層部が口を出すことを嫌うタイプだ。

また、トゥヘルはベイリー会長とそりが合わずにチェルシーを去った経緯があり、なおかつマッケンナ、ポチェッティーノと並ぶマンチェスター・ユナイテッドの新監督有力候補との情報もある。

こうして、チェルシーの新監督候補はふたりに絞られた。

「監督も含め、一気に若返りを図る」というチェルシー上層部のプランに、44歳のマレスカはマッチする。レスターを1シーズンでプレミアリーグ復帰に導いた手腕を、ベイリーも高く評価しているようだ。

違約金をめぐってリヴァプールとは破談に終わったものの、スポルティングのアモリムもメガクラブを率いる野心を捨てていない。39歳。マレスカより若く、実績では上まわる。

今夏はヨーロッパ選手権、コパ・アメリカ、パリ・オリンピックとビッグイベントが相次ぐため、各クラブとも編成はスポードを要求される。チェルシーも迅速に動いており、早ければ今日明日中に、遅くとも来週半ばまでには公式にアナウンスされる見込みだ。

マレスカか、アモリムか、あるいはほかの候補者か……。まもなく、直近3シーズンで6人目(暫定も含む)の新監督が決定する。

文:粕谷秀樹