動物園や水族館といった生き物を扱う施設での楽しい体験の裏側には、スタッフたちが日々重ねている涙ぐましい努力がある。

そんなことを再認識させてくれる掲示物が、X上で注目を集めている。

機械がダメになったなら......(画像は仂㌠@ikas9uidcalamarさんの投稿より)

こちらは、東京都在住の会社員・@ikas9uidcalamarさんが2024年4月1日に投稿した画像だ。

水族館の大きな水槽に2枚の張り紙が貼られている。左側は、水槽の造波装置が故障したためにしばらく波を起こすことができない旨の「お詫び」だ。

ここまでなら普通のお知らせといった感じだが、問題はもうその隣の張り紙。

「時々スタッフが人力で波を起こします」

スタッフが? 人力で? それはなんというか、かなりの力技だ......。斜め上すぎる対策方法に、X上ではこんな声が寄せられている。

「腕が筋肉痛になりそう」
「魚サイドは楽しんでそう」
「多分そのうち、波の起こし方が上手いスタッフとか現れそう」

一体どうしてこうなったのか。Jタウンネット記者は2日、まずは投稿者の@ikas9uidcalamarさんに話を聞いた。

40年間がんばりました

@ikas9uidcalamarさんが張り紙を見つけたのは3月30日の13時ごろ。場所は富山県魚津市の魚津水族館1階にある「波の水槽」だ。

「愛嬌ある張り紙と、手動で頑張っている姿を想像して微笑ましさを感じるとともに、40年も稼働していた造波装置にも驚きました。また、設備の老朽化はたくさんの水族館で問題になっているので、早く復旧してほしい、と応援したい気持ちになりました」(@ikas9uidcalamarさん)

なお、@ikas9uidcalamarさんが訪問した時は、.残念ながら実際に手動で波を起こすところは見られなかったそうだ。

お魚たち「がんばれ〜」

Jタウンネット記者は26日、魚津水族館にも詳しい事情を聞いた。

同館学芸員の不破光大さんによると、「波の水槽」の造波装置は開館当初の1981年から導入していた年代物。水面に設置した板をモーターで上下させて波を起こすことで、魚たちが波の中をどのように泳ぐかを観察できる仕組みだった。

しかし、今から2年ほど前に波を起こす板のアーム部分(支柱)が錆の影響で取れてしまったことで、ついにその寿命を迎えることに。そこで、新しい装置が導入されるまで、代わりにスタッフが人力で波を起こすことになったのだ。

「(波を起こす際は)直径30センチメートル程の、お風呂をかき混ぜる道具のようなもので水を混ぜています」(不破さん)

ただ、新しい装置が導入される時期は未定とのこと。まだしばらくの間は、スタッフが人力で波を起こすことになりそうだ。