大きな期待と関心を集める中、ついに完結した韓国ドラマ『涙の女王』。tvNで放映された韓国では毎回のように好視聴率をマークし、日本でもNetflixで配信され大人気。大きな関心を集めた。

その期待に応えるようなハッピーエンドで終わり胸を温め熱くした視聴者たちは多いが、その一方で毎週のように楽しみにしていたドラマが終わってしまい、どこか寂しく胸にポッカリと穴が開いてしまったような『涙の女王』ロスを患わってしまったファンも多いはず。
そんな『涙の女王』ロスに贈る連載企画。3回目はパク・ソンフンについて。ゴールデンウィークはこの企画を通じて、どうか『涙の女王』ロスを乗り切ってほしい。

『涙の女王』で存在感を誇ったのは主演のキム・スヒョンのキム・ジウォンだけではない。パク・ソンフンも強烈な印象を残した。
パク・ソンフンが演じたのは、キム・ジウォン演じるヘインと大学同期でM&A専門家でもあるユン・ウンソン。過去に負った傷のトラウマを持つが、ドラマの行方を激しく揺るがすヴィランとして存在感を発揮するウンソンは、クイーンズグループの頂点に上がるために手段と方法を選ばないブルドーザー級の悪行を繰り広げていった。
そのウンソンになりきり、まさに狂気と欠乏の間を行き来したパク・ソンフンの感情表現は圧巻の一言であったが、彼がヴィラン(悪役)として憎たらしいほどの存在感を放つのは、『涙の女王』が初めてではない。
昨年ブームを巻き起こすほど注目を集めた『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』でも、強烈な悪役を演じていた。
彼が扮したチョン・ジェジュンは、ドラマのヒロインであるムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)が高校生のときに彼女を徹底的にイジめた絶対悪だった。
成人してもみだらな生活を送りながら悪事を重ねていくチョン・ジェジュンを見て不快感と嫌悪を覚えた視聴者たちも多いはず。
そんな彼が『涙の女王』でも、ときに狂気じみた言動に打って出たのだから、さすがに多くの視聴者たちは「パク・ソンフン=悪」というイメージを持つかもしれないが、パク・ソンフンは「悪役専門俳優」でもない。
例えばファンタジック・ラブストーリーの『ラブ・パッセンジャー 〜私たちの恋愛事情〜』ではヒロインの警察大学の先輩で派出所の所長ウン・ジェウォン役に扮している。
また、家族愛をテーマにした『たった一人の私の味方』では殺人事件被害者の娘チャン・ダヤの兄で歯科医のチャン・ゴレというキャラクターに扮しているし、『恋の始まりは出馬から!?〜すべき就職はしないで出師表〜』はヒロインの相手役にしてエリート公務員のソ・ゴンミョン役を演じている。
実はそのキャラクター消化力は高く、演技の幅も広いのだ。
そんなパク・ソンフンの次回作はNetflixオリジナルシリーズ『イカゲーム:シーズン2』。世界的にメガヒットしたスリラードラマの新キャストのひとりとして、早い段階から発表になっている。
ただ、演じる役柄についてはいまだベールに包まれたままだ。『イカゲーム』では「負けたら即死」という容赦ないルールの中で、生き残りと高額賞金を懸けたデスゲームが展開されるが、パク・ソンフンは多額の借金を抱えてデスゲームに挑む側のキャラクターなのが、それともイ・ビョンホン扮するフロントマンなどを中心としたデスゲームを監視支配する側のキャラクターなのか。
どらちの立場になっても善悪が複雑に絡み合ったキャラクターになりそうだが、それを見事に演じきれれば名実ともに実力派俳優への仲間入りだろう。
韓国では悪役からキャリアを積むも、今では人気者になった俳優は多い。パク・ソンフンもその花道を駆けあがることを期待したい。
文=韓ドラ時代劇.com編集部