能登半島地震を受け、開催が延期されていた富山県高岡市の二十歳の集いが4日、市内の全12中学校区でそれぞれ開かれた。出席者からは「開催されるか不安だった」との声が聞かれ、友人との再会を喜ぶ姿が見られた。液状化現象の被害が大きかった伏木中学校区では今も震災の爪痕が残る中、「復興に向け、小さなことでも貢献したい」と参加者が古里に思いを寄せた。

 伏木中学校区は伏木コミュニティセンターで開き、86人が出席した。角田悠紀市長があいさつで「困っている人の力になってほしい」と呼びかけた。

 会場には、被災者支援に取り組んできた人たちの姿があった。石川県の大学に通う中村龍馬さん(20)はボランティアで側溝から泥をかき出す作業をした。「少しでも伏木の風景を取り戻したかった」と言う。金沢市の大学生、高木優花さん(21)は同市に避難してきた能登の中高生の悩みを聴く活動をしており「心が軽くなるよう寄り添いたい」と語った。

 地震の経験を今後に生かそうとする声も聞かれた。実家で断水を経験した山梨県の大学生、荻布由佳さん(20)は教員志望で「今までの生活が当たり前ではないことを子どもたちに伝えたい」。都内の大学生、田中孝太朗さん(20)は「将来は地元に戻り、できることをしたい」と力を込めた。

 二十歳の集いは1月7日に開かれる予定だったが、約4カ月遅れの開催となった。高岡市問屋町の高岡エクールで芳野中学校区の式典に出席した同市の会社員、田畑はるなさん(20)は「不安もあったけど、友達と再会できてうれしい」と話した。市内の対象者数は1563人で、4日は計1126人が出席した。

被災者思い手作り髪飾り デザイナー・吉田さん(芳野中出)

 都内でデザイナーとして活動する芳野中出身の吉田遊舞(ゆま)さんは、能登半島地震からの復興の願いを込めて手作りしたガラスの髪飾りをつけ、高岡エクールで開かれた二十歳の集いに出席した。

 中学時代から伝統工芸に興味を持ち、本格的にものづくりの技術を磨こうと、今春にガラス製品を扱う都内の会社に入った。現在はステンドグラスのデザインを担当している。

 髪飾りは「被災した人を勇気づけたい」と3月に作り、着物と同じ柄のチョウをデザインした。「ゆくゆくは富山の工芸に携わり、地元の伝統を受け継ぎたい」と夢を語った。

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