宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)月組の「Eternal Voice 消え残る想(おも)い/Grande TAKARAZUKA110!」が12日、宝塚大劇場で千秋楽を迎えた。公演後、退団するトップ月城(つきしろ)かなととトップ娘役海乃美月(うみの・みつき)のサヨナラショーがあり、大勢のファンに見守られ、本拠地では最後となる舞台を終えた。

 月城は2009年に95期生として入団。雪組を経て17年に月組へ組替えし、21年8月に月組トップスターに就任した。正統派男役として「芝居の月組」を体現してきた。

 海乃は11年初舞台の97期生。月組に配属され、21年、月城と同時にトップ娘役に就任した。大人びた雰囲気のコンビとして人気を集めた。

 サヨナラショーでは月城が「グレート・ギャツビー」から「朝日の昇る前に」をソロ歌唱。宝塚大劇場でトップコンビお披露目をした「今夜、ロマンス劇場で」のナンバーに乗せ、海乃とのデュエットも披露した。退団者を見送る際の象徴、真っ白な衣装に身を包んだ月組生が月城を囲んで「Rain」を歌い、舞台は最高潮に。最後は月城の「一緒にやってきてくれた海乃のサヨナラショーでもあり、最後の瞬間を2人の思い出にしたかった」との思いから、デュエットで締めくくった。

 退団のあいさつに月城は黒燕尾(えんび)姿で現れ、「幼い頃は恥ずかしがり屋だった私が、心のままに歌い、踊り、芝居ができたのは月組生、お客さまのおかげ。最後の瞬間まで清く正しく美しく、ほがらかに務めたい」と語った。

 公演後の会見で月城は「泣きそうになった瞬間もあったが、感謝の気持ちを伝えたい思いの方が大きかった。千秋楽に組のみんなが楽しそうに公演し、無事に幕が下りた。大階段を下りて最後のあいさつまで、無事終えられたのは、舞台の神様が見てくださっていたのかな」と、すがすがしい笑顔を見せた。

 2人は同演目の東京宝塚劇場公演(6月1日〜7月7日)千秋楽で退団する。(小尾絵生)