兵庫県内は16日夜、南部で上空の大気の状態が不安定になり、ひょうやあられが降ったり、突風が吹いたりした。加古川市で50代女性が顔と手にひょうが直撃して軽傷を負ったほか、播磨地域では民家の車庫が壊れるなどの被害が相次いだ。神戸地方気象台は姫路市で突風が発生し、建物に被害が出た可能性があるとして17日午前から現地調査を開始した。


 加古川市平岡町の住宅地では、車庫の屋根に穴が開くなどの被害が出た。無職岸田信さん(86)もカーポートが破損したといい「外でガラガラ、ゴロゴロと音がして直径2センチはあるひょうが地面に散乱していた。市に相談したい」とため息をもらした。

 姫路市飾磨区の男性会社員(59)宅でも、ひょうでカーポートのプラスチック製の屋根が壊れ、男性は道路に飛び散った破片の片付けに追われた。同市によると、強風の影響もあり、同様の被害が多数確認されているという。

 播磨町でも、公用車の車体がへこみ、公共施設の窓ガラスが割れ、カーブミラーの一部が破損するなどの被害が出た。

 加古川市は17日、被害証明の相談窓口を設置した。高砂市には、罹災届出証明書の発行の問い合わせが17日朝から約20件あった。

 交通機関にも影響が出ている。神戸市灘区の摩耶山の麓と山上を結ぶ「摩耶ケーブル」は、16日夜の落雷の影響で電気系統にトラブルが発生し、17日の始発から運休している。復旧のめどは立っていない。摩耶ケーブルと接続する「摩耶ロープウェー」は通常通りに運行しているという。

 神戸地方気象台によると、姫路市では16日午後7時58分に最大瞬間風速13・2メートルを記録。明石市では同8時22分に同17・1メートルを観測した。

 同気象台などによると、ひょうは直径5ミリ以上、あられは5ミリ未満の氷の塊。16日夜は上空に冷たい空気が流れ込み、地上との寒暖差が生まれたという。担当者は「これだけ大きなひょうは珍しい。積乱雲の発達の具合が大きかったとみられる」と話した。

 神戸地方気象台は16日から17日にかけ、県内全域に雷注意報を発表。県内に一時、竜巻注意情報を出して警戒を呼びかけていた。(まとめ・上田勇紀)