岡山・香川の話題のものやスポットを紹介する「いまココ!ナビ」。皆さんは「風穴」をご存知でしょうか。今回は香川県三豊市の父母ヶ浜を望む山で、一時は所在がわからなくなっていた珍しい風穴をご紹介します。一年を通じて冷たい風が吹き出す不思議な体験ができます。

 三豊市の父母ヶ浜。

 この浜に近い三豊市仁尾町にある志保山。この山に「天然の冷蔵庫」と呼ばれる風穴があります。

(記者リポート)
「登山口にやってきました。今から15年ほど前にこの風穴を再び探し出してくれた、地元在住の真鍋正和さんです」

 「志保山の風穴」はかつて地元の人たちに知られていましたが、70年ほど前に訪れる人がなくなり、どこにあるのかわからなくなっていました。それをもう一度探し当てたのが真鍋正和さん(75)です。

(風穴を再発見した/真鍋正和さん)
「昔の林道を歩けるようにする。それだけでも大変でした。両サイドに石垣が2、3段見えているだけだった」

 登山口から歩くこと約15分……風穴に到着しました。

(風穴を再発見した/真鍋正和さん)
「10年余りかけて昔の姿にだいぶ近づいてきたかな……」

(記者リポート)
「少し半地下になっています。あ、すごくひんやりします」

 風穴の内部の温度はこのとき約11℃。この日の午前11時の麓の気温は21℃と、なんと10度ほど低くなっていました。

 風穴は山の内部で生じる温度差や風圧で風が通り抜ける洞窟です。積み重なった岩の隙間を流れる空気が地下水に冷やされて、人工の石垣の隙間から噴き出してきます。

 そのため吹き出す風の温度は炎天下でも15℃前後に保たれるそうです。

 この風穴は明治時代からカイコの卵の保管庫として利用されていましたが、土砂に埋もれてわからなくなっていたのを、真鍋さんが仲間と手作業で整備しました。

(記者リポート)
「苔がむしていてシダがあって、そして自然の風が後ろから流れてきて、目を閉じていると本当に癒やされます。気持ちがいいです」

 真鍋さんたちは、その後、山道の整備をさらに進め、約10年前から3年がかりで標高360mの東峰に北、東、西の3方向の眺望が楽しめるよう整備しました。

(風穴を再発見した/真鍋正和さん)
「夏でも案外涼しい、爽やかな感じがする、海も見える、讃岐山脈も見える。約1時間弱の登山でできるのが魅力じゃないかな」

 天然の涼しさと美しい景色を楽しんだ志保山から車で約10分、風情のある建物が1741年創業の老舗の酢「仁尾酢」の醸造元「中橋造酢」。

 約280年前の江戸中期、香川県で最初に酢の製造を始め、その製法を今も守り受け継いでいます。

 杉樽を使った伝統技法の発酵でよりじっくりと醸し出される「仁尾酢」は、しっかりとした酸味とまろやかさが感じられる絶妙な味。

 今では全国47都道府県すべてにリピーターがいるそうです。

(中橋造酢/中橋登美子 副社長)
「皆さんお寿司を作ったら、次の日のも酢っぱさが飛ばなくておいしく食べられると言って下さいます。一度使うと他のお酢が使えないくらいの素敵な風味がします。

 「仁尾酢」は二合瓶や五合瓶、一升瓶とラインナップもたくさん!

 最近は、地元三豊市で採れたかんきつ類などを漬け込んだ「フルーツDE酢」も人気だそうです。

(記者リポート)
「三豊市財田町で採れたボイセンベリーでつけた酢をいただきたいと思います。お酢ですけどもボイセンベリーの甘さもほのかに感じて体にとてもよさそうです」

 工場は予約をすれば見学もできます。伝統を受け継ぐ昔ながらのお酢づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。