鹿児島県垂水市のツツジの名所近くの森で行われたハイキングの話題です。2時間ものハイキングを終えた先で参加者を待っていたのは、とっておきのグルメでした。

標高約700メートルの山肌を彩る赤やピンクの花。垂水市中俣の「高峠つつじケ丘公園」に自生するツツジです。

4月中旬から咲き始め、ゴールデンウイーク初日のこの日は、恒例の「春のつつじ祭り」もスタート。

訪れた人たちはツツジをめでたり、カメラに収めたりして、のんびりとした休日を過ごしていました。

花見客
「きれいですよね。垂水は高峠にツツジが咲いてゴールデンウィークだなあと思う」

そんな自然豊かな高峠の近くで、心と体を癒やしてもらおうと、この日はハイキングが開催されました。

企画したのは、高峠の麓で黒毛和牛を育てる「室田牧場」です。

室田牧場・室田志保さん
「ガイドやアシスタントがいるので、遠慮なく声をかけてください。楽しい一日を!」

ハイキングには、県内各地や宮崎などから、あわせて10人ほどの親子連れらが参加。高峠のツツジに見送られながら出発です。

ハイキングの舞台となるのは、垂水市の面積の約19%を占めるという鹿児島大学の高隈演習林です。

演習林長を務める鹿児島大学の井倉洋二准教授や学生サークル「たかくま森人クラブ」のメンバーが案内人を務めます。

一行が最初に訪れたのは「ヤクスギ巨樹の森」と名づけられた人工のスギ林。

屋久島の天然スギの種などを使って、1916年から育てられている屋久島由来のスギがズラリと並びます。

鹿大学生サークル「たかくま森人クラブ」白川涼子部長
「これ全部大きさバラバラですよね。でもこれみんな(樹齢)108歳なんです。びっくりですよね。植えられた場所が同じでも日当たりとかちょっとの違いでこういう差が出てくるんです」

スギに触れたり…目を閉じてみたり…

参加者はそれぞれの方法で森の息づかいを感じようとします。

参加者
「優しい感じがする。大きいけど怖さがない」
「『小さいことで動じるな』って」

この日は時折雨が降るあいにくの天気でしたが、大人も子どもも貴重な植物に興味津々です。

そして、太古の大噴火で形成されたシラス台地と、桜島の火山灰が織りなす地層や…樹齢推定300年、「森の神様」として親しまれているスダジイなど…

参加者は新緑に包まれながらハイキングを通じて悠久の自然を感じていました。

参加者
「空気もいいし、スギの木が元気よく茂っていてすごいなと思った。自然の気配が感じられる」

鹿大学生サークル「たかくま森人クラブ」の白川涼子部長
「森って楽しい、面白いことがいっぱいある、という発見や喜びなど、心の動きを大事にしてもらいながら、森歩きを楽しんでもらえることを意識して話をした」

そして歩き始めてから2時間。演習林の中にあるキャンプ場に到着です。

そこに用意されていたランチは…「室田牧場」の特製ハンバーガーです。

参加者は無添加の飼料などで育った黒毛和牛100%のパティや無農薬の野菜などを使った人気のハンバーガーをおいしそうに頬張っていました。

参加者
「とてもおいしいです。室田さんの放牧で作られた肉が食べられると思って、それも楽しみで来た」
「今、自然とふれあう機会が減ってきていると思うので、こういう機会があれば、また参加したい」

雄大な自然に五感を震わせて。参加者たちはここでしか得られない、とっておきの時間を過ごすことができたようです。

この特製ハンバーガーは今回、特別に提供されたものですが、室田牧場では今後も
集落のイベントで多くの人に食べて欲しいと話していました。

 そして、高峠のツツジは長雨の影響ですでに見頃は過ぎていますが、垂水市は高峠など市内をめぐってカンパチなどの特産品が当たるスタンプラリーを6日まで開催しています。