立憲民主党は13日の「次の内閣」の会議で、公式確認から68年が過ぎた水俣病問題の解決に向けた独自の新法案を示した。2009年の水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済策の再開と、おおむね2年以内の不知火海沿岸の住民健康調査の実施が柱。来週中にも国会に提出する。

 12年に申請が締め切られた救済策を巡っては、対象外となった水俣病不知火患者会などの会員らが集団訴訟を提起。昨年9月から今年4月にかけて出た大阪、熊本、新潟の3地裁判決は原告全員または一部原告のメチル水銀被害を認めた。

 潜在的な被害者救済につなげるため、新法案は一時金や療養費などを支給する救済策の再開を盛り込んだ。政令で申請受け付けや支給について定める方針。

 健康調査に関しては、環境省が手法の開発を理由に特措法施行から15年たっても実施していない状況を踏まえ、具体的な期限を区切る必要があると判断。実施期間をおおむね2年間と設定し、調査地域の範囲については水俣病が多発していた時期の魚介類の流通や経済的・社会的状況も考慮するよう求めた。

 効果的な疫学調査や社会学的調査の手法を十分活用することも記載。健康調査の実施地域や内容、方法を明らかにした工程表の公表も盛り込んだ。

 長妻昭政調会長は終了後の会見で「問題が長期化しており、健康調査も行われていない。法案を突き付けることで政府に対応を迫りたい」と述べた。

 5月1日の伊藤信太郎環境相との懇談で、環境省職員が患者団体の発言を制止してマイクの音を切り、水俣病問題に対する国の姿勢が問われる事態に発展。立民環境部門長の近藤昭一衆院議員(愛知3区)は「水俣病問題は現行法では解決できない」とし、新法案の提出を明言していた。(髙宗亮輔)