特集は、18日に続いて「レスリング」です。先日行われた中学生の全国大会で、ジュニア選手が奮闘しました。会場には、パリオリンピック代表の櫻井つぐみ選手も、後輩たちの応援に駆けつけました。

先日、茨城県水戸市で行われた「全国中学生レスリング選手権」。

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“中学生日本一”を決める大会に、県勢では、3つのレスリングクラブから5人の選手が出場しました。高知レスリングクラブを率いる櫻井優史監督。その三女で、櫻井つぐみさんの妹、この春、中学生になったつきの選手も、初めての「全中」に挑みます。

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■櫻井つきの選手
「今までやってきたことを出したら勝てると思うので、それをしっかり出していきたいです」

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■京面龍太郎アナウンサー
「そんなつきのちゃんに“贈り物”が…これ、お姉ちゃんたちから…」

これは2日前、つぐみさんとはなのさん、2人のお姉さんを取材した時、「つきのさんに渡してほしい」と私たちに託されたものでした。

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■櫻井つぐみ選手
「(つきのの全国大会に)行けないので、渡してもらおうかなと思って。『つっきー、がんばれ』っていう感じで…。いつもは『頑張れ』をくれるので、お返しで…」

お姉ちゃんたちからエールをもらって、この表情。

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■京面龍太郎アナウンサー
「どうですか?」

■櫻井つきの選手
「2人は全中で1年生の時から決勝に進んでいて強いので、つき(自分)も頑張らないといけないなと思いました」

大会は、男女それぞれ11の階級に700人近い選手が参加。“中学生日本一”の座をかけ、2日間、各階級トーナメント形式で戦います。試合時間は、第1ピリオド4分、第2ピリオド2分。クラブは違えど普段から一緒に練習する高知の中学生たちが、順当に勝ち進んだり悔しい敗北を喫したりする中、いよいよ、つきの選手の試合がやってきました。

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相手は世代トップクラスの3年生。前半、優位な体勢をとったつきの選手でしたが…相手の体を無理に返しに行こうとして、逆にポイントをとられてしまいます。結局、試合に敗れたつきの選手。ほろ苦い中学生の全国デビュー戦となりました。

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■櫻井優史さん
「(勝ちたい)思いだけでは無理やって。こっち(頭)が冷静に動かんと。考える力を付けないかん。勝たしてくれんき、ね?お父さんも勝たしてあげられん。自分で考えて勝とうとするしかないが」

つきの選手が悔しい思いをした後、会場には“この人”がやってきました。

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パリオリンピック代表、姉の櫻井つぐみさんです。

■櫻井つぐみさん
「(午後と翌日が)オフだったので、せっかくなら、つっきー(つきの)がこっちに来てるんで、行こうかなと思って」

練習後、群馬から新幹線と電車で駆けつけたつぐみさん、つきの選手の試合はインターネットで見ていたそうで…

■櫻井つぐみさん
「惜しいですけど、みんな練習しているし、相手も強いので、ここからどんどん強くなっていけばいいなと思います」

■櫻井つきの選手
「つき(自分)は負けてしまったけど、いつか(つぐみさんを)追い越したいです」

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県勢で上位争いに食い込んだのは、男子52kg級の藤原尚大(ふじわら・しょうた)選手。全国トップクラスの力があり、5月、櫻井つぐみさんが帰省した時は積極的にスパーリングの相手を務めたクラブの“中心選手”ですが、これまで全国大会では「3位」が最高成績でした。

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■藤原尚大 選手
「自分のやってきたことを全部出し切って、しっかり勝ち切って、優勝できるようにしたいと思います。つぐみさんがパリへいい流れを持っていけるように、自分が流れを作れるように頑張りたいと思います」

その言葉通り、第2セコンドに櫻井つぐみさんがついてくれた準々決勝では、序盤の猛攻が決まり、試合開始50秒ほどでテクニカルスペリオリティで“完勝”すると…これまで突破したことがない、“鬼門”の準決勝。第1ピリオドで9点を奪い、あと1点取った時点でテクニカルスペリオリティ勝ちとなりますが、なかなか決めきれません。「あと1点」、はやる気持ちが垣間見える中、残り50秒でした。

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苦戦しながらも、初めて、決勝への切符を掴みます。

■会場アナウンス
「男子52kg級、赤、高知クラブ、藤原尚大選手。青、グロリア、久保颯大選手」

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“日本一”まで、あと1勝。第1ピリオドは落ち着いて相手にプレッシャーをかけ、3対0とリードして折り返します。

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そして第2ピリオド。残り時間が迫る中、じわじわ詰め寄られます。それでも…

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最後まで集中力を切らさなかった藤原選手、悲願の“日本一”に輝きました。

■藤原尚大 選手
「今までずっと3位止まりだったので、しっかり『勝ち切る』気持ちで行って、(決勝の)最後は気持ちが高ぶって焦る部分もあったんですけど、最後はしっかり勝ち切って、ちょっとずつ点を重ねて優勝できたので良かったと思います」

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■櫻井優史 監督
「中3で、最後の『全中』。大会前もすごく気持ちが入ったいい練習をしていたので、『なんとか勝たせてあげたいな』と思って、茨城に来たんですけど、いい内容で優勝することができて、尚大にとっても初めての全国優勝なので、よかったなと思います」

オリンピック選手が2人誕生した高知のレスリング界。その後輩たちも着実に力をつけていて、“次のオリンピック選手”の誕生が期待されます。

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■櫻井つぐみさん
「本当に、今回、本人(藤原選手)も優勝するために頑張ったと思うので、『金メダルのうれしさ』を知って、もっと高いレベルで勝っていける選手になったら、自分も嬉しいです」