能登半島地震で被害を受けた石川県内11消防本部のうち、大規模災害時に119番の緊急度を判定する「コールトリアージ」の制度を整備していたのは奥能登広域圏事務組合消防本部(輪島市)など2本部だけだったことが28日、各消防への取材で分かった。地震発生当日、奥能登消防が受けた119番が少なくとも平常時の約20倍に当たる390件超に上ったことも判明。緊急度の低い内容も多く、対応に苦慮したといい、災害時の通報殺到への体制整備が急がれる。

 コールトリアージは多数の119番に対し、通信指令員が命が危険な内容を優先し出動順を決定する。緊急度は3段階に色分けし、高い順から赤(緊急)、黄(準緊急)、緑(低緊急)が基本。

 今回、ピーク時で1日午後4〜11時に112件の通報があり、発生時の3人態勢から9人に増強して「緊急度の高い傷病者の早期対応が可能になり、一定の成果があった」という。一方、「タイヤのパンク」「水道が出ない」などの問い合わせも多く、担当者は「住民の理解が必要」とした。