8月9日の長崎原爆の日に開く平和祈念式典で、鈴木史朗長崎市長が読み上げる平和宣言の起草委員会初会合が3日、市内で開かれ、委員からロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザでの戦闘について、被爆者の証言や訴えを反映し、終結を促すよう求める意見が上がった。

 委員の一人、長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(83)はイスラエルやロシアによる核の脅しを例に挙げ「核使用の可能性が迫ってきている」と指摘。「世界の指導者に、きのこ雲の下で何がもたらされたのか直視するよう訴えるべきだ」と主張した。

 鈴木市長は「長崎を最後の被爆地に、というメッセージを発信することがますます重要になっている」と述べた。

 このほか、複数の委員から日本政府の軍備増強に対する懸念が示され、対話外交を促すべきだとの意見も出た。

 起草委は市長を委員長とし、被爆者や識者ら15人で構成。6、7月にも会合が開かれ、市長が7月末ごろ取りまとめる。