まつげケア、9割弱が「していない」と回答

「ユーグレナ」が、まつ毛に関するインターネット調査を実施し、その結果を発表しました。調査は、2024年3月、全国の20〜60代の女性1000人を対象に行われました。

「自分のまつ毛が減ったと思ったことはありますか?」

 それによると、「自分のまつ毛が減ったと思ったことはありますか?」という問いに対して46.1%と半数近くの人が「減ったと思ったことがある」と回答しました。

「自分のまつ毛が減ったと思ったことはありますか?」(年代別)

年代別に比率をみると60代以上が62.5%(200人中の割合、以下同)と最多で、50代は46%、40代は44.5%、次いで20代の40%、最も比率が低いのが30代の37.5%でした。

まつ毛を減らさないために対策をしていますか?

 また、「まつ毛を減らさないために対策をしていますか?」という問いに対しては、全体の89.7%と9割弱が対処をしていないのが現状のようです。対策を「している」人の比率を年代別にみると、20代が18.5%と突出しており、対し60代以上は4.5%、30代・40代・50代は概ね10%前後の人しか対策をしていないという結果となりました。

 美容皮膚科医である松倉クリニック代官山院長・貴子先生は、「まつ毛が減ることの大きな原因は加齢だけではないので、対策すればキープできる可能性がある」といいます。まつ毛が減ってしまう原因と対策について、貴子先生が解説しました。

まつ毛は“年齢に抗える”

まつ毛は“年齢に抗える”

貴子先生「加齢によりまつ毛が薄くなった、細くなった、まばらになった、生え変わりが遅くなった…という声を聞くことは多々あります。加齢によりターンオーバーのサイクルが遅くなることもまつ毛の減少につながりますが、ストレスが増えることによるホルモンの影響、摂取する栄養値の低下や吸収率の低下も大きな原因になりえます。

加齢により頭髪が薄くなることはよく知られています。頭髪は性ホルモンの影響を受けやすいですが、まつ毛や眉毛は性ホルモンの影響を受けにくい「無性毛」という種類の体毛です。第二次性徴の前から生えているのが無性毛の特徴で、それに対し第二次性徴後に生えてくる、たとえばすね毛などといったムダ毛は男性ホルモンの影響を受けることで増減すると言われています。

つまり、まつ毛は加齢により生ずる性ホルモンの乱れではなく、ストレスや自律神経の乱れに起因するホルモンの乱れに深く関係しています。したがって、実は年齢を経てからでも対策次第でフサフサのまつ毛を手に入れることは可能だとも言えます」

まつげが生まれ変わるサイクルは?

貴子先生「まつ毛も頭髪と同じように毛周期がありますが、頭髪が3〜6年なのに対し、まつ毛は3週間〜3か月と、比較的短期間で生え変わります。片目につき、まつ毛は目の上に80〜100本、下に50〜80本あると言われていますが、日本人は密度が少ないので、抜けてしまうと隙間が目立ってしまうのが残念なところ。ぜひできるだけフサフサまつ毛をキープして、印象的な目元を作っていきたいですよね。近年はまつ毛を育毛できる美容液も発売されていますので、マスカラ下地を兼ねて活用してみましょう。

まつ毛を補修・保湿する成分としてはケラチン、パンテノール、加水分解エラスチン、加水分解シルク、コラーゲン、ヒアルロン酸、セラミドなどがありますが、これから生えてくるまつ毛を育ててくれる育毛成分としては、鶏卵由来で副作用がなく、妊娠中や敏感肌の人でも安心して使えるセラメント(CELLAMENTR)を配合したものなどがおすすめです」

まつ毛が抜ける主要な原因と対策

まつ毛が抜ける主要な原因と対策

●マスカラによる負担

貴子先生「近年は美容成分を含んだマスカラが多いのでマスカラの液体自体が直接的な刺激にはなりづらいですが、まつ毛も頭髪同様に表面のキューティクルはだんだんはがれていきます。乱れたキューティクルにマスカラブラシが引っ掛かることでダメージを拡げてしまう可能性はあります。キューティクルを修復してくれるマスカラ下地をマスカラ前につけることを習慣にすると、今生えているまつ毛を維持することにつながります。

暑い夏に向けてウォータープルーフマスカラに変えようと思っている人もいるかもしれません。しかし、ウォータープルーフマスカラを、オイルをつけたコットンで擦って落とすのは、まつ毛にとって大きなダメージに。マスカラのタイプに合ったクレンジングを選ぶことが大切です。皮膚を摩擦することも、これから生えてくるまつ毛にもよくありません。お湯でスルッと落とすことができるスマッジプルーフマスカラ(=擦っても落ちない)もおすすめです。

また、顔全体のメイク落としも、ふき取りタイプのものだと顔全体を落とす時にまつ毛も擦ってしまう危険があるので、ふき取りタイプではなく洗い流すタイプのクレンジングが好ましいです」

●アイラッシュカーラーによる負担

貴子先生「アイラッシュカーラーを使う人も多いと思いますが、毎日まつ毛のキューティクルを傷つることを繰り返すと今生えているまつ毛の切れ毛につながり、また、まぶたの皮膚を引っ張ることで毛根にもダメージを与え、これから生えるまつ毛も弱ってしまう可能性が。電気で加熱して癖付けをする温熱タイプのアイラッシュカーラーのほうが負担を軽減できます」

●アイライナーによる負担

貴子先生「目の淵にラインを引くアイライナーは、ペンシルタイプよりもリキッドタイプに。瞼に色が乗りづらいペンシルタイプだとまぶたに圧力をかけてしまうので、軽い圧力で描けるリキッドアイライナーがおすすめです」

●目のかゆみで掻いてしまう

貴子先生「春と秋(特に春)の花粉アレルギーによる目のかゆみのために目を擦ってしまい、まつ毛が抜ける人も多いようです。眠っている間に擦ってしまうことも多く、自覚がないうちにまつ毛が減っているという人も。目元のかゆみや充血を感じたら就寝前にアレルギー症状を緩和してくれる目薬を使用してみましょう」

●紫外線によるダメージ

貴子先生「まつ毛はまぶたの皮膚の紫外線ダメージの影響も受けます。また、頭髪と同様に、日光の紫外線ダメージで今生えているまつ毛のキューティクル破壊や切れ毛にもつながります。サングラスなどで紫外線からガードすることも有効です」

●ターンオーバーの遅れ

貴子先生「まつ毛が減ってしまう大きな要因として、ターンオーバー(細胞の新陳代謝)の遅れも考えられます。ターンオーバーの正常化のためには質のよい睡眠を十分にとり、ストレス物質であるコルチゾールの分泌が過剰にならないようにする必要があります。コルチゾールが増えると成長ホルモンの分泌が妨げられてしまい、ターンオーバーが乱れてまつ毛の成長を妨げます。

また、目の周辺の血行がスムーズで酸素や栄養素が行きわたっていることも大切です。ホットタオルで温めたり、目元を温めて血流を促進するようなグッズも有効です。炭酸泡の美容液や血行促進効果の期待できるアイライナーなどを活用してみるのも良いでしょう」

●風邪や新型コロナ後遺症、インフルエンザ

貴子先生「コロナや風邪、インフルエンザといった感染症や大きい手術の後にまつ毛が減ってしまうという人もいます。これは、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰分泌されることも一因ですが、体内の炎症を排除するために免疫や再生能力が活発に機能し、まつ毛や頭髪の原料となる体内の鉄や亜鉛、免疫力増強に必要なビタミンDなどが大幅に減ってしまうこともまつ毛や頭髪の減少に関係すると推定されます」

●妊娠や出産

貴子先生「妊娠中・出産後にまつ毛が少なくなったという声も聞かれます。どちらかというと妊娠中よりも産後のほうが頭髪もまつ毛も脱毛がより顕著に起こるようです。これは性ホルモンバランに起因するものでなく、ストレスによるコルチゾール過剰分泌や栄養素欠乏による場合が多いです。出産時に胎盤が娩出されて子宮からはがれることで大量の出血があり、鉄欠乏が起こりやすくなります。妊娠中から鉄分補給を意識しておきましょう」

●過度なダイエットや長引く胃腸障害による栄養不足

貴子先生「過度なダイエットにより摂取される栄養が極端に減ってしまうことや、腸内環境が乱れているせいで栄養がきちんと吸収されないためにまつ毛が減るリスクもあります。便秘や下痢を繰り返す人は腸内環境が健全でない可能性が高いので、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維をふんだんに摂りましょう。特に、穀類、野菜、豆類、キノコ類といった食品で不溶性食物繊維を摂る際は、たっぷりの水分を一緒に摂りましょう

朝食の前にまず白湯を飲んで胃腸のはたらきを活性化させるのもおすすめですが、日本人は硬水を消化しにくいため、胃痛を起こしてしまう人もいるので軟水を飲むようにしましょう」

まつ毛対策で摂りたい栄養素

貴子先生「まつ毛対策で摂りたい栄養素は、まず、鉄・亜鉛・ビタミンDなど。

鉄ならば、レバー、肉類、魚介類など、亜鉛ならば牡蠣や肉類、ビタミンDならば鮭やきくらげなどに豊富に含まれていると言われますが、日々十分な量を摂取しつづけるためには食事を意識しつつもサプリメントで補うことを推奨します。

ビタミンDは日光に当たることで自分の体内で作ることもできますが、紫外線による肌やまつ毛へのダメージなども考慮しても、サプリメントでの摂取がおすすめです。

鉄や亜鉛といったミネラルは胃もたれの原因になることがあるので、食後の摂取をおすすめします。対し、細胞自体をつくることに役立つプロテイン(たんぱく質)やターンオーバーを促すことに役立つ、サーチュイン遺伝子を活性化させると言われるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)なども役立ちます。これらは空腹時に摂取しても吸収されやすいといわれています。

まつ毛を守り、育てる正しい対策を知ることで、健康で美しいまつ毛の維持につなげましょう」

(LASISA編集部)