最も好きな詩・短歌は?

「フタバ」(名古屋市)が、好きな詩や短歌に関するアンケート調査を実施しました。調査は2024年2月19日〜2024年3月6日の期間、読書好きな10〜80代の男女124人を対象に、インターネット上で行われました。

 それによると、「最も好きな詩・短歌を教えてください」の質問に対し、さまざまな回答が寄せられました。選んだ方が多かった作家の作品と理由は以下の通りです。

【茨木のり子「自分の感受性くらい」】

「うまくいかないことや、嫌なことがあった時、つい、他の人やもののせいにしてしまいがちだが、そんな時に、自分に立ち返って、考えるきっかけになる詩。」(50代女性)
「学生時代に国語の授業で習った際、最後の「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」という文章に衝撃を受けた。」(20代女性)

【金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」】

「違っている事が変ではなく、出来ない事を嘆くのではなく人間も動物もみなそれぞれに違う魅力を兼ね備えていて、だからこそ素敵なんだという事を教えてくれたので。」(50代男性)
「自分と他人を比べて落ち込むことはなく、「みんな違ってみんないい」と個々人を肯定してくれるメッセージを感じられるから。」(20代女性)

【俵万智「「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人の いるあたたかさ」】

「一人暮らしの時に、これを読んで、家族の元に帰りたくなりました。人のいる暖かさ、彼氏に限らず、誰かが側にいてくれることのありがたさを思い知らされます。」(40代女性)
「冬の短歌だが、とてもあたたかくて幸せな気持ちになる優しさがあふれているから。」(40代女性)

上記で紹介した3名の作家は、別の作品も選ばれており、人気の高さがうかがえます。また、高村光太郎や谷川俊太郎の名前も多く挙げられていました。好きな詩や短歌は人それぞれですが、作品を通して心を揺さぶられたり、新しい価値観を得たりするような特別な経験をしている点で共通していました。

詩・短歌の魅力って?

詩・短歌の魅力って?

 次に、「詩・短歌の魅力を教えてください」という質問に対し、さまざまな回答が寄せられました。

「短い言葉で、詩人・歌人のメッセージを受け取れることろ「(60代男性)
「日本人が昔から大切にしている「余情の美学」を感じる点です。語りすぎない美しさに感性的な魅力を感じます。」(30代男性)
「自分の解釈次第で、短い日本語の中にとてつもなく大きな世界を見る事ができる。」(60代女性)
「リズムが良いところと、ハッとする言葉選びを発見できる事が好きです。」(40代女性)
「短くて、年齢、学歴、国籍、にかかわらず、取り組みやすく、心に残り、座右の銘となって、人の道筋をてらしてくれるからです。」(50代女性)
など、詩や短歌の魅力として、短い文章の中に作者の感情や情景が詰まっていることを挙げた方が多い印象でした。

 また、多くを語らないからこそ自分なりの解釈を楽しめたり、言葉遊びとして楽しんだりしている人もいるようです。なかには、詩や短歌を人生の道しるべにする人もいました。

「いつ頃(何歳頃)から詩・短歌が好きでしたか?」という設問では、「中学生の頃」と回答した方が最も多くなりましたが、全体の約2割程度です。次いで「小学校低学年の頃」「小学校高学年の頃」と続き、それぞれ大きな差はありませんでした。詩や短歌を好きになるタイミングも、人によって異なることがわかりました。また、詩や短歌を好きになったきっかけの多くは「国語の教科書」でした。

 授業をきっかけに詩や短歌の魅力を知り、自分でも詩や短歌を作るようになった方もいるようです。また、家族や友人の影響によるものや、書店で見かけた、作品に一目惚れした、などの意見もありました。

回答者が推す「詩・短歌」を紹介

知ってる作品はある?回答者が推す「詩・短歌」を紹介

「フタバ」は、「人に知ってもらいたい詩・短歌があれば教えてください」、「おもしろい」と感じる詩・短歌があれば教えてください」の2つの設問に対して寄せられた回答から、「詩や短歌にあまり馴染みのない方でもわかりやすい作品」を選んで紹介しています。

「石垣りん『家出のすすめ』」(20代女性)
「生きる 作者:谷川俊太郎」(30代女性)
「茨木のり子の作品は人や環境のせいにしてしまう人たちに読んで欲しい。また、石川啄木の短歌は地に足をつけつつ頑張りたいと思う時に何故か頭をよぎり、現実をしっかり見据えることができるのでお勧めしたい」(20代女性)
「江國香織の詩集は、雰囲気が良かったです。」(30代女性)
「俵万智の作品は私が短歌を好きになった入り口なのでもっと多くの方に知ってもらいたい」(30代男性)
「金子みすゞさんの代表作『私と小鳥と鈴と』」(30代女性)

すでに知っている作品も、歳を重ねてもう一度読み返すと、解釈が変わり新しい発見ができるかもしれません。また、知らない作品があれば、これを機にぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

(LASISA編集部)