昔のSNSを彷彿させる新たなSNSが登場しました。ベンチャーキャピタリストのNaval Ravikantと、Tinderの元プロダクト・チーフのBrian Norgardが開発した、その名も「Airchat」です。

AIの要素も含まれているAirchatは、音声ベースのSNSアプリ。「Clubhouse」と違って、数カ月以上は定着する可能性を感じています。

テキストと音声を組み合わせた「Airchat」

Screenshot: ライフハッカー編集部

Airchatは、「Just Talk」というシンプルな理念に基づいて開発されています。

ユーザーは、自分のフィードを音声や動画のメッセージで更新しますが、フィードにはテキストだけが表示されます。Airchatは、AIを使って音声や動画の内容を文字に起こし、フィード上にテキストで変換して投稿されるのです。

Airchatのフィードは、テキストの投稿やリプライ、リポストなどのオプションが並び、一見するとX(旧Twitter)やThreadsと同じように見えます

しかし、スクロールしていくと、今までになかった経験が。更新された音声や動画をAirchatが再生するので、フィードが話しているように見えるのです。

さらにスクロールすると、別のユーザーが話しかけているように聞こえます。また、即座に自分の声でその投稿にリプライすることもできるんです。

もう1つの特徴は、フィードが自動でスクロールすること。Airchatは、ある投稿の再生を終えると自動的にスクロールして、次のリプライの投稿の音声を再生します。これは、ハンズフリーのSNSと言えるでしょう。

たとえば、車での移動中にフィードを読み込み、ポッドキャストのように流しながら更新されたものを聞くことができるのです(画面を消してもAirchatは話し続けます)。

また、Airchatにはダイレクトメッセージ(DM)機能もあり、フィードに投稿するのと同じ方法でプライベートの会話ができます。

ただし、音声で読み上げるメッセージを聞くのが苦手な人にとっては、あまり使えるアプリではないかもしれません。

Airchatは、電話番号やAppleのアカウントで登録することができますが、知人ユーザーを探すには連絡先へのアクセスを許可しなければなりません。また、Appleの音声認識機能へのアクセス許可も必要です。

「Airchat」を試す価値はあるか?

ほかの新しいSNSと同様、今のAirchatはシリコンバレーを中心とした「新しいもの好きな人たち」で溢れています

Airchatの現行版はいわゆるリブート(再起動)ですが、以前のバージョンはClubhouseにより近く、音声メッセージとやりとりが中心でした。現在は、文字起こし機能のおかげで、フィードがより活発で双方向型になっています。

Airchatの特長の1つは、シームレスな体験を提供している点。録音し投稿された音声が、ほぼ瞬時にテキストとして表示されるのはとても感動的で、この瞬間的な満足感が繰り返されることで、人は惹きつけられ、使い続けるのでしょう。

しかし、基本機能はさておき、今後も生き残ることができるかどうかはまだ疑問が残ります。現在のところ、Airchatには大規模なコンテンツモデレーション(投稿監視)がないうえに、私の使用中はアプリが時々フリーズすることもありました。

さらに、SNSの発展性には、魅力的なフック以上の要素が必要です。ベースとなるコアユーザーを育て、そこから成長させる必要がありますが、招待上限が設けられていた段階ではそれが難しいように感じました。

なぜなら、リリース当初は招待数が制限されていたため、Airchatを利用している人自体があまりいなかったからです(2024年4月16日執筆時点ではユーザーは上限2人までの招待制でしたが、今では招待不要で誰でも気軽に参加できます)。

ユーザー数は、Blueskyのような新しいプラットフォームも抱えている問題でしょう。もっと多くの人が参加し、さまざまな興味深い話題について話しはじめるまで、話すSNSの実用性を実感することは難しいもの。SNSというのは人がすべてなので、知り合いがいなければ、更新を忘れてしまうSNSの1つになります。

とはいえ、現在は一般向けにもリリースされて誰でも使えるようになったので、このような音声のやりとりで知らない人と交流するのがいいものかどうか、実際に試してみてはいかがでしょう。

1つ明らかなのは、Airchatは本当に積極的にユーザーに参加してもらいたいと思っているであろうこと。Airchatは、Redditと違ってテキストではなく声を使って、Redditのようにランダムな会話にすぐに参加できる楽しさがあります。

しかし、そのように楽しみたい人が本当にたくさん存在するのか、生まれては消えていったこれまでの多くのSNSの運命をAirchatが免れられるかどうかは、まだ未知数です。

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Source: Airchat