「いい人」と聞くと、どんな人物像を思い浮かべますか? たとえば「他人に嫌われないよう、万人に好かれるように行動する人」はどうでしょうか。

万人に好かれたいという欲求は誰にでもある一方で、その欲求を優先してばかりいると「逆に人生を追い詰めかねない」と説くのは、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)の著者、午堂登紀雄さん。

今回は本書より、「いい人」でいようとしすぎることの弊害と、「いい人」をやめることで生まれるメリットを紹介します。

他人に感情を揺さぶられず、平穏な日々が過ごせる

さっそくですが、以下にあてはまるものはあるでしょうか。

  • 人から嫌われるのが怖い
  • つい「愛想笑い」をしてしまう
  • 一人でランチできない
  • 飲み会やお茶の「誘い」を断れない
  • 異性に尽くすのが好き

あてはまる数が多いほど、「いい人」である傾向は高まります。

「いい人」すぎる人には「他人に嫌われないようにしなければいけない」という強迫観念がつきまとってしまう、と午堂さん。そのことが、自分の人生を窮屈に、息苦しくしてしまうとのこと。

自分の意見や本音を言わず周囲に合わせているだけの人は、何を考えているかわからない人物に映るので、周りの人も本音でぶつかってきてくれません。

すると仲間の中にいてもなぜか疎外感や孤独感を感じたり、「都合のいい人」と映って気安くお願いごとをされたり、「どうでもいい人」と映って軽くあしらわれたりします。

(『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』はじめに)

人に好かれようとした結果、それが「都合のいい人」「どうでもいい人」と扱われてしまう原因になってしまうとは…。

「いい人」をやめれば、他人に自分の感情を揺さぶられることが減り、日々平穏な気持ちで過ごすことができるようになるとか。そのスキルはぜひ習得したいですね。

自分の常識や正義に捉われない、他人に押し付けない

本書では「人間関係」「対話」「常識」「お金」「恋愛」「再生産」の6章にわたり、「いい人」をやめられるようになるヒントを紹介しています。

ここでは「第3章 常識」からすぐ取り入れられそうなことを3つ挙げてみましょう。

1.「友達が少ないことに悩む」のをやめる

友達が少ないことに対し、「人間関係を失敗した結果であり、自分の人づきあいに非がある」と思う人は少なくないかもしれません。しかし、決してそうではないと午堂さんは強調します。

本書で紹介されているのは「友達が少ないことに悩む人は、表面的な友達ばかり増えて疲れてしまうのに対し、悩むのをやめた人は何でも打ち明けられる友達ができる」ということ。

つまり「友達が少ないことに悩むのはやめよう」という提案です。

「友達100人できるかな」なんてフレーズがありますが、「100人の友達なんて必要なく、100人とのふれあいのなかで自分に合う人をふるいにかけていけばいい」と午堂さん。

自分の成長に応じて、相性が合う相手も変わっていきます。そうやって都度、一緒にいて心地いい、我慢しなくてもいい、見栄や虚勢を張らなくてもいい、緊張感なく何でも安心して打ち明けられる、沈黙した間があっても不安にならない相手を、たった一人得ていけばいいのではないでしょうか。

(『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』115〜116ページ)

2.「世間体を気にする」のをやめる

午堂さんは「世間体」について、「実際には存在しない『他人からこう思われたらどうしよう』という自分の中にある恐怖感であり、思い込み」と定義しています。

そんな世間体を気にすることをやめられないと、「窮屈になり、不幸になる」のに対し、気にすることをやめられれば「恥ずかしさ」不感症になり、ラクに生きられるようになるとのこと。

自分が気にしている世間体は「思い込み」。世間体に対してもっと鈍感でいいというアドバイスです。

3.「自分の正義の押し付け」をやめる

「いい人」が生きづらくなる理由は、他人に嫌われないように行動するため…と紹介しましたが、もう1つの理由に「日本人が持っている美徳や道徳観念、常識や社会のルールを愚直に守ろうとしている点も挙げられる」と午堂さん。

問題なのは、それによって本人の心が窮屈になると同時に、周囲に対しても同調圧力をかけようとしてしまうこと

自分の正義の押し付ければ、自分だけでなく周囲も社会も息苦しくしかねません。ではどうすればいいのでしょう。

他人には他人の常識や正義があることを受け入れ、「そういう人もいる」と多様性を認められば、イライラする場面を減らすことができます。

(『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』142ページ)

また、相手が自分の正義を押し付けようとしてきた場合は「スルーするに限る」のだそう。「そういう考えもあるかもしれませんね」「時と場合にとっても変わりますしね」とやんわりぼやかして、かわしましょう。


他人が何をしようと、何を言おうと、「別にいいじゃん」「自分は自分」と捉えることができれば、ムカついたりイライラしたりするシーンが激減するはず。

もし「いい人」の自覚があれば、まずは上記の1つからでもぜひ試してみてください。

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Source: 日本実業出版社