温暖な気候に恵まれ、海と山の豊かな幸がある「食材の宝庫」ともいわれる三重県。その土地で育まれた食を楽しみ、食文化に触れることを目的にしたガストロノミーツーリズムに県をあげて積極的に取り組んでいます。今回は三重県・多気町の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」で体験できるガストロノミーツーリズムをご紹介します。

“美食の街”サンセバスチャンの有名店が並ぶバル通り

“美食の街”サンセバスチャンの有名店が並ぶバル通り

VISONのある多気町は、世界一の美食の街として知られるスペインのサンセバスチャン市と「美食を通じた友好の証」を締結しています。その友好の証を記念して名付けられた「サンセバスチャン通り」にはサンセバスチャン市で人気のバル3店舗が海外初の“支店”をオープン。バル巡りが気軽に体験できる通りです。

サンセバスチャンとの友好の証である旗が掲げられていました

サンセバスチャンとの友好の証である旗が掲げられていました

世界ピンチョス大会のチャンピオンでもあるパブロシェフのお店「CASA UROLA」

世界ピンチョス大会のチャンピオンでもあるパブロシェフのお店「Casa Urola」。サンセバスチャンで一番人気のバルで、純粋なバスク料理を提供しています。

海老、卵、アンチョビをクルトンの上に乗せたピンチョス

世界ピンチョス大会で優勝した、海老、卵、アンチョビをクルトンの上にのせたピンチョス各¥500。マヨネーズベースのソースと素材が合い、かりっと揚げたクルトンの食感も楽しめます。ショーケースにはこの一口サイズのピンチョス数種類が常備されていて、見て選ぶのも面白いです。

Casa Urola
 
℡0598-67-6360(サンセバスチャン通りのバル3店舗共通)
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 サンセバスチャン通り3
11:30〜14:30 (LO.14:00)17:00〜21:00(LO.20:30)

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世界ピンチョス大会で優勝経験のあるパウルシェフのお店「Zazpi」

同じく世界ピンチョス大会で優勝経験のあるパウルシェフのお店「Zazpi」。フレンチの要素も取り入れたモダンスタイルのバスク料理を提案しています。店名がついた人気メニュー「Zazpiのマッシュポテト」(写真右)はマッシュポテトに生ハムのチップと卵黄がのっており、下にトリュフソースが隠れているので全体を混ぜて食べると香り高く、満足感ある一品です。

Zazpi
 
℡0598-67-6360(サンセバスチャン通りのバル3店舗共通)
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 サンセバスチャン通り2
17:00-23:00 (LO.22:30)

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だし、みりん、漬物など伝統的な和の食材の専門店が集結

笠原将弘がプロデュースしたエリア「和ヴィソン」

予約困難な人気日本料理店「賛否両論」の店主である笠原将弘さんがプロデュースしたエリア「和ヴィソン」。和食の味を支える伝統的な調味料や食材の専門店や和食の魅力を味わえる飲食店が集まっています。「学んで体験できる蔵」をテーマにしていて、製造風景の見学やワークショップなども開催しています。

<自分だけのだし作りを体験できる>

無添加商店 尾粂
無添加商店 尾粂

東京の築地・豊洲市場で150年以上の老舗水産仲卸が展開する食のセレクトショップ「無添加商店 尾粂」。この三重VISON店では、無添加の24種類のだし素材から、4〜5種類をセレクトして自分だけのオーダーメイドだしパックづくりが体験できます。選んだ素材を目の前で粉砕、充填、包装まで行い、天然無添加の味わいをそのまま持ち帰ることができます。料理人の笠原将弘マスターが作ったオーダーメイドだしパックの配合比も紹介されているので、プロの味と同じものを購入することもできます。

尾粂こだわりの配合で作られただしパックも販売

自分で選ぶ時間がない場合には、尾粂こだわりの配合で作られただしパックも販売されています。片口煮干しにまぐろ節、かつお本枯節、焼きあご、羅臼昆布など贅沢な素材を使った「特上だし」(30袋入り、¥2,916)は旨みが凝縮された上品な味わい。うるめ煮干しにさば節、香信椎茸などが入った「三重だし」(30袋入り、¥2,268)はお土産にぴったり。だしの試飲もできます。

無添加商店 尾粂
無添加商店 尾粂
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 食祭7
0598-67-8200
<平日>9:30〜21:00(イートインL.O. 20:30)
<土・日・祝>9:00〜21:00 (イートインL.O. 20:30)
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<みりんの製造工程を間近で見学>

店内からガラス越しにみりんの製造過程を間近にみることができます 【美醂 VIRIN de ISE】

料理人さんや食通の人にも愛用されている「三州三河みりん」が有名な、愛知・三河の角谷文治郎商店が運営する「美醂 VIRIN de ISE」。伝統製法により多気町産のお米を使ったみりんを仕込み、販売しています。店内からガラス越しにみりんの製造工程を間近に見ることができます。

タンクの中でもち米と米麹、米焼酎を熟成 【美醂 VIRIN de ISE】

タンクの中で蒸したもち米と米麹、米焼酎を熟成させています。

美醂VIRIN

多気町産のもち米と米麹、本格米焼酎で仕込んだ「美醂VIRIN」(500mL ¥1,056)VISON内の飲食店でも多く使われている、本格派のみりんです。

美醂 VIRIN de ISE
美醂 VIRIN de ISE
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 蔵前22
0598-67-9307
10:00〜18:00

<伝統製法を受け継ぐ伊勢の老舗漬物屋>

伝統製法を受け継ぐ伊勢の老舗漬物屋 【林商店】

御薗大根を使い木で組んだ「ハサ干し」で作られる伊勢たくあんを400年以上作り続けている老舗漬物屋の「林商店」。店頭にある3780Lの容量がある木樽は酒屋から買った酒樽で100年以上使い込んだもの。木樽は空気を通すので糖の発酵もしやすく、これで漬けた伊勢たくあんは味も香りも抜群に美味しいそう。

木樽で漬けこんだ「伊勢たくあん」、大根葉を加えて仕上げた「伊勢たくあんふりかけ」

木樽で漬けこんだ伊勢たくあんは小1本(200g)¥2,000、大1本(300g)¥3,000(写真左)。伊勢たくあんを細かく刻み、米ぬかや白ごま、大根葉を加えて仕上げた「伊勢たくあんふりかけ」(70g 、¥990)(写真右)。

毎日手入れをして発酵させた自慢の自家製ぬか床で漬けた、キュウリ棒
毎日手入れをして発酵させた自慢の自家製ぬか床で漬けた、キュウリ棒(¥300)。これからの暑い季節の食べ歩きにおすすめ。
林商店
 三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 旨味16
10:00〜17:00(定休日:火曜日/木曜日)
 

スペインの食文化と三重の食材を融合したメインダイニング

スペインの食文化と三重の食材を融合したメインダイニング
VISONのメインダイニングである「IZURUN(イスルン)」

バスクと日本の交流が楽しめるVISONのメインダイニングである「IZURUN(イスルン)」。入店後はまず隣接のバーに案内され食前酒を楽しみ、その後フロアにオープンになっているキッチンを通り、料理ができあがる様子を見学しつつ、テーブルへと案内されます。食べる前からはじまる食体験を存分に味わうことができる仕掛けが面白い。

土地が持つ文化や食材を大切にするというバスク人の考え方を料理で表現した14品のコース料理

土地が持つ文化や食材を大切にするというバスク人の考え方を料理で表現した14品のコース料理。スモークしたマスや松阪牛など、地元の最高食材を贅沢に使い、素材本来の味を生かす調理法で届けています。ディナーコースのみ25,000円。

料理長の中武シェフ

料理長の中武シェフは、サンセバスチャンの三ツ星レストランで働いていた経験もあり、バスク人への敬意や憧れが料理に込められています。イスルンは、スペイン王国が認定する、高品質なスペイン料理を提供・かつユニークな異なるイメージを持つレストランに贈られるプログラムに選ばれています。

IZURUN
 
℡0598-67-0279
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 ホテルヴィソン10階
18:00〜(一斉スタート))

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食の道具をアートのように楽しむ<KATACHI museum>

食の道具をアートのように楽しむ<KATACHI museum>

陶芸家・造形作家内田鋼一さんがプロデュースした、時代も国籍も多様な食の道具をまるでアート作品のように展示するミュージアム。国内最大級という土壁で造られた建物内には、規則正しく、大小さまざまな道具が置かれている。説明や順序は特に決められておらず、見た人が自分の感性でその道具の形を見て自由にイマジネーションを膨らませながら体験してほしいという内田さんの意図が込められています。

食の道具をアートのように楽しむ<KATACHI museum>
網ややかんなど同じ種類の道具でも、さまざまな形状のものがあり面白い。

網ややかんなど同じ種類の道具でも、さまざまな形状のものがあり面白い。一見よくわからない、道具の使い方をあれこれと想像しながら見ていくと新しい発見もありそうです。

KATACHI museum
 
三重県多気郡多気町ヴィソン672番1 アトリエ4
入館料¥800
10:00〜17:00

公式サイトはこちら

VISONにはこのほかにも、三重県周辺の海の幸や山の幸が大集合する「マルシェ ヴィソン」や地産地消にこだわった甘いもの巡りができる「スウィーツヴィレッジ」など、三重の食の魅力を体験できるスポットがたくさんあります。ガストロノミーツーリズムの旅の目的地としてぜひ訪れてみてください。


photograph: Chiaki Tanabe & Liniere.jp text:Liniere.jp 
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