「年末年始はカギ屋が一番忙しくなる時期」という噂を耳にしたことはあるだろうか。どうやら、忘年会・新年会が集中し、ついついお酒が進んでしまうことで、帰り道で自宅のカギや財布、スマートフォンなどを無くす人が急増する・・・ということらしい。

紛失防止サービスを提供する「MAMORIO」が全国の男女500名を対象に「忘年会・新年会シーズンの紛失」調査をおこなったところ、全体の81.2%が「12月が1年のなかで最も紛失しやすい」と回答したという。

実際のところはどうなのか、またそんなトラブルに見舞われた際の対策はあるのか、関西はもちろん全国に365日駆けつけてくれるカギのプロ「一般社団法人カギの110番・カギの救急車」に話を訊いてみた。

■ 身分証明書はカギと分けて持っておくべき

──さっそくなのですが、年始年末にカギ関連のトラブルが増えるというのは本当なのでしょうか?

やはり飲み会でアルコールを摂取することで判断力が著しく低下することもあり、年末年始はカバンやスマホなどの紛失が増える傾向がありますね。その結果、カギ紛失による開錠依頼も増える時期になっています。

また、年始年末に限らずGWやお盆の連休・長期休暇に入ると旅行に出かける人も多いため、それに伴うカギトラブルも増加しがちです。旅先から帰宅後に家のカギがない、旅先から送ったスーツケースに家のカギも入れてしまった・・・など、連休特有の依頼があります。

──カバンごと無くすのは恐ろしいですね・・・。その場合、どうやってカギの開錠を依頼するんでしょうか?

基本的に、当グループではトラブル防止のため依頼主がその住居に本当に住んでいる方かを確認するため、免許証やマイナンバーカードなど「顔写真付きの身分証明」で必ず確認しております。

なので、「財布・カバンを紛失し身分証を所持していない」「開錠しても室内に証明するものがない」場合はお客さまから警察へご連絡いただき、警察立会いのもと作業をおこないます。入居者のご親族から依頼された場合も、同様に警察立会いの下での作業となります。

──そう聞くと、身分証明書はカギと分けて持っておいた方がいいかもしれませんね。もしカギを無くした場合、真っ先に何をするべきなんでしょうか?

まずはお近くの交番へ行ってください。すでに親切な方に拾っていただいて届けられていることもありますし、今後届けられる可能性もあるため、遺失届を出しましょう。管轄の警察署に電話で相談することも可能です。

一度紛失したカギは、最悪のケースでは悪用される可能性もあります。特に、住所のわかるものと一緒に紛失した場合、戻ってきたとしても合鍵を作られる可能性もあるため、カギ交換が必須となります。

──無事戻ってきても、そんな危険性があるんですね。そもそも、カギを無くさないように気をつけるコツなどあればぜひ伝授してほしいです。

自分のなかで「ルール」を決めることでしょうか。鞄のなかでカギを入れる場所や帰宅時に置く場所を決めておくなど、とにかく「カギは大切なもの」という意識を忘れずマイルールを作ってください。

最近では紛失防止対策として、暗証番号や指紋認証が設定できる「電子錠」なども安価で普及しています。バッグに入れたりカギなどに取り付けて紛失時にGPSで検索できる「紛失防止タグ」も各社から出ています。お子さまの鍵紛失対策としてもおすすめですよ。

年始年末は久しぶりに運転をした人がうっかり車内にカギを閉じ込めてしまう「インロック」や、旅先でスーツケースをあけようとしたらカギがないという観光客からの開錠依頼など、さまざまなカギ関連トラブルが頻発する時期なのだとか。 「普段使っていないものを使おうとして失敗が増えるシーズンなのかもしれません」と担当者。いくら楽しい年末年始でも、ハメを外しすぎないように気をつけたい。

取材・文/つちだ四郎