日本ハムファイターズ戦力分析2024 フロントも“本気”の積極補強!新庄監督3年目は“勝負の1年”

新庄剛志監督就任後の2年間は連続最下位。結果こそ出ていないが、若手の成長やチームの雰囲気など、確実に“変化の兆し”が見える。昨季は新本拠地・エスコンフィールドの会場で北海道のファンも大いに沸かせたが、新庄監督自身が「エスコンで稼がせてもらったのでチームが補強を頑張ってくれた」と語るように、今季はこれまでの育成路線から大幅な方針転換を見せた。

エース・上沢直之がポスティングでメジャーへ移籍したが、穴埋めにオリックスで昨季11勝を挙げた山﨑福也をFAで獲得。さらに新外国人5人を含む球団史上最多“助っ人8人体制”を敷くなど、球団が全面的に新庄監督をバックアップしている。

投手陣は上沢直之が抜けたとはいえ、むしろ層は厚くなった印象。先発陣は加藤貴之、山﨑福也、伊藤大海の3枚が盤石で2020〜2021年に在籍したドリュー・バーヘイゲンが3年ぶりに復帰。過去2年間はメジャーリーグ、カージナルスでリリーバーとして活躍し、特に昨季は60試合で5勝1敗14ホールドをマーク。メジャーとの争奪戦に勝利し、球団の外国人史上最高額で契約を結んだ。さらには北山亘基、上原健太、金村尚真、新外国人のパトリック・マーフィーなどが揃い、少なくとも先発の“頭数”で球を悩ませることはなさそうだ。3年目の達孝太もオープン戦ですさまじいボールを投げており、今季の大ブレイクもあるかもしれない。

リリーフ陣は昨季、移籍1年目でクローザーに定着した田中正義と池田隆英の「創価大コンビ」が今季も8〜9回を任される見込み。さらに河野竜生、玉井大翔や大ベテランの宮西尚生、復活を期す杉浦稔大に在籍7年目を迎えるブライアン・ロドリゲスなどが控える。先発・リリーフともに優勝、Aクラスを争える準備は整ったと言えるだろう。

野手陣に目を向けると、確かに「未知数」な部分は多いがそのぶん「夢」を見れる選手たちが並ぶ。一昨季の首位打者・松本剛に加えて、昨季は万波中正が大ブレイク。持ち前のパワーと強肩で一気にリーグを代表する選手へと成長を遂げた。彼らと同世代の清宮幸太郎、野村祐希が「覚醒」すれば打線の破壊力は他球団に引けを取らない。また、二遊間には上川畑大吾、奈良間大己といった攻守にセンス光る20代の選手が台頭。特に上川畑の守備力は特筆モノで西武・源田壮亮のゴールデングラブ賞を奪うとすれば、彼になるかもしれない。

また、捕手に強打の外国人、アリエル・マルティネスを据えることができるのも日本ハムの強みだ。移籍1年目の昨季は捕手、一塁、DHの併用となったが、キャリアハイの15本塁打をマーク。捕手としての出場がさらに増えれば打線も組みやすくなる。

新庄監督にとっても3年目の今季はいよいよ「言い訳のできない年」になる。つねづね「選手たちに優勝を味わわせてあげたい」と語る指揮官だけに、これまで蒔いた種が花開く1年になるのか、注目したい。

日本ハムファイターズ2024開幕スタメンはこれだ! 日本ハムファイターズ打順/予想布陣/先発ローテション/リリーフ投手

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花田 雪
(はなだ きよむ)

1983年、神奈川県生まれ。 編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心にバスケットボール、大相撲、サッカー、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆を行う。 著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか〜選手たちの知られざる少年時代〜』(日本文芸社)がある。