作中で亡くなっている「完璧な兄」は結構いる

 印象に残るアニメ、マンガ作品には、若くして亡くなってしまう兄がいる? ネット上では、物語のなかで「死ぬために出てくる完璧な兄」の存在が話題になっていました。例えば、初登場から死ぬまでには時間がかかりますが、『ONE PIECE』のルフィの兄(義兄弟)のエース、『北斗の拳』のケンシロウの義兄・トキ、『彼岸島』の宮本明の兄・篤などは、その死が名場面として語り継がれています。

 その他、出てきてからすぐに死んだ兄や、物語開始時点ですでに死んでいた兄など、いろんな「兄キャラ」が話題となっています。

 まず人気の「完璧な兄」キャラとして、『NARUTO-ナルト-』に出てくる主人公・ナルトのライバル、うちはサスケの兄・イタチがいます。イタチはうちは一族のなかでもかなりの実力者で、8歳で写輪眼を開眼、13歳で暗部の部隊長になるほどの人物でした。うちは一族を殺して抜け忍となったイタチですが、実は里を守り、戦争を避けるための行為だったことが判明。サスケを強くし、生かすために自分を恨ませたという、弟想いな一面も明かされています。

 その他、作中ですでに死んでいる状態で名前が出てきた「完璧な兄」の一例として、「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた『ゴールデンカムイ』の、鯉登音之進少尉の兄・鯉登平之丞が話題となりました。海軍少尉だった平之丞は、父・鯉登平二少将からも認められている年の離れた優秀な兄で、日清戦争の黄海海戦で亡くなります。

 弟である鯉登少尉は兄を尊敬すると同時にコンプレックスも抱いており、過去編では「優しか兄さあでした」「オイは鯉登家の落ちこぼれじゃ」「兄さあの代わりにはなれん」と語っていました。この兄への複雑な感情が、鯉登少尉や父・鯉登少将の運命も変えることになるため、「最初から死んでいるけど重要キャラ」と言われています。

 この「物語に影を残している過去に死んだ完璧な兄」としては、『ジョジョの奇妙な冒険』第7部「スティール・ボール・ラン」のジョニィ・ジョースターの兄・ニコラスや、『鋼の錬金術師』の「傷の男(スカー)」の兄(本名不明)なども挙げられていました。

「完璧な兄は早く死ぬ法則」は、ディズニー映画にも当てはまります。例えば、『ベイマックス』に登場する主人公・ヒロの兄であるタダシは、亡くなった両親に変わって弟を導いてきた最大の理解者です。弟の科学の才能をより発揮できるよう、支え続けていましたが、序盤で謎の事故により命を落としてしまいました。

 また、初登場から20数年越しに「実は完璧な兄がいて、過去で死んでいた」ことが明らかになったのが、『SLAM DUNK』の宮城リョータです。2022年12月3日に公開されたアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』では、実は沖縄出身だった宮城リョータの兄・ソータの死を、序盤で描いています。

 ミニバスで名選手として活躍していたソータですが、リョータが幼いころに海難事故で死亡。ソータが遺したリストバンドは、リョータが受け継いで着用しています。この過去の描写で、「宮城への印象が変わった」「キャラに厚みが出るし、山王戦の同じプレーでも見え方に変化が出る」と話題になりました。

 完璧な兄の死に対して、ネット上では「故人の情報が美化されて『完璧補正』がかかるよね」「若くして亡くなるから、挫折している姿を他人に見られてなくて完璧に見える」「可能性込みで神格化される」など、亡くなった故に完璧と思ってしまうという意見もありました。その一方で、「早死にの兄たちは本物の完璧キャラ。最初から亡くなる予定orもう死んでいるから、作者も遠慮なく完璧キャラにしてるはず」「ディズニーのイケメンお兄ちゃんは完璧だけど大体死ぬ」など、いろんなキャラの例が挙げられていました。

 その他、派生して「兄とは言われてないけど、『鬼滅の刃』の煉獄さんも、炭治郎に影響を与えた『完璧な兄』枠だよね」「『タッチ』の上杉和也は双子の弟の方だけど、ガッツリこの枠」「完璧すぎて狂ってしまった『うしおととら』の秋葉流にいちゃんは、最初から死ぬ予定だったのだろうか」など、いろんなキャラが話題になっています。