日本の優勝で幕を閉じたU23アジアカップ。

9日にJFAハウスで行われたメディア向けのレフェリーブリーフィングでは、同大会での判定にまつわる傾向についても話題になった。

2022シーズン限りでトップリーグ担当審判員から勇退し、現在JFA審判マネジャーを務める佐藤隆治氏は、審判インストラクターやアセッサー(※試合における審判員のレフェリングを評価する人)としてU23アジアカップに参加。

同大会を現地取材した記者から「アジアの若い世代で、VARがあるがゆえのアピール合戦のようなプレーが目立っていたのでは」という質問を受けると、佐藤氏は以下のように答えた。

「なきにしもあらずかなと思います。たとえば、相手選手がクリアするところに(あえて)飛び込んでいく。接触がないとVARはまったく介入しませんが、接触が起きると、いかなる接触でも確認をし始めます。VARを意識したプレーはあったのかなとは思います。ただ、審判チームとして『これはコンタクトがあるけどノーマルコンタクト』もしくは『遅れて入ったほうが悪い』というようなことを見極める力はやはりつけていかないといけない。やったもの勝ちのようになっていくのは良くないです」

佐藤氏は今大会、8試合でアセッサーを担当。1試合を除きVARの介入があったとのことで、大会中に見えた傾向として、注意しなければならないものがあったという認識を示した。

一方で、Jリーグ(J1)ではVARがあることによる大袈裟なアピールは現状見られないと語り、「もしそうしたことが見られてもブレーキをかけられる審判チームであってほしい」と自らの願いを口にしていた。

スウェーデン1部では先日、クラブの反対多数により導入が見送られたVAR。審判にかかるプレッシャーを軽減するという意味で有効なツールであることは間違いないが、その存在による「選手側の変化」もやはり否めないようだ。