丸太を振り回していた伝説のキャラが復活?

 かつて夢中になって読んでいたマンガなのに、さまざまな事情で「途中離脱」してしまった経験は誰しもあるものでしょう。特に何十年も続く長寿マンガでは、そのような経験をした方も多くいると思います。そうした人に向けて、長寿マンガで起きた最近の衝撃展開を振り返ります。

※この記事には『彼岸島』『刃牙』シリーズ『ONE PIECE(ワンピース)』のネタバレを含みます。

●懐かしキャラが復活?『彼岸島』

 不死身の吸血鬼「雅」に支配された孤島で生き残るサバイバルホラー『彼岸島』(著:松本光司)は、2002年に「週刊ヤングマガジン」にて連載を開始しました。そして、『彼岸島 最後の47日間』『彼岸島 48日後…』とタイトルを変更し、現在も同誌で連載が続いています。

 その『彼岸島』シリーズの主人公「宮本明」の兄である「宮本篤」は、「丸太」を振り回して吸血鬼を倒しまくる、同作を象徴するキャラでした。しかし、吸血鬼ウイルスに感染してしまったことで、彼は雅の軍門に下ります。そして、弟の明に決闘を挑んだ篤は、激闘の末に明に介錯される形で死亡しました。

 現在連載中の『彼岸島 48日後…』は、舞台が孤島ではなくなっています。『彼岸島 最後の47日間』のラストで雅がばら撒いた吸血鬼ウイルスによって日本は吸血鬼の国となっており、雅に支配された状態です。そして、雅を殺すために新たな仲間たちと荒廃した日本を移動している明は、自分が殺したはずの篤の目撃情報を得ます。

 375話で明が倒した敵「舌喰い」は、雅の不死身の肉体に対抗できる「抗ウイルス薬」を持っているといわれていました。しかし瀕死の舌喰いは、現在その抗ウイルス薬を持っているのは、薬を共同開発した男で雅の「息子」である、宮本篤なる人物だと言い出したのです。

 久々に篤の名前が出た時点で明や読者は大いに驚きましたが、その後395話でついに登場した該当の人物は、フードをかぶった丸メガネで、明との決闘で使っていた薙刀を操るなど、たしかに篤を思わせる男でした。そして「宮本明」の名前を耳にすると、篤と思われるその人物は涙を流し、心配する様子まで見せます。

 しかし、吸血鬼の集落のボスである彼が本物の篤なのかどうかはまだハッキリしておらず、今後の展開がとても気になる状況です。果たして謎の人物は篤なのか、篤だとして明は兄と共闘するのか、また戦う羽目になるのか、注目が集まります。

●勇次郎とジャックの会食『刃牙らへん』

 1991年から連載されている格闘マンガ『刃牙』シリーズ(著:板垣恵介)は、シリーズ累計で単行本150巻以上が出版されており、現在は第6部『刃牙らへん』が「週刊少年チャンピオン」にて連載されています。そして、その『刃牙らへん』で最初にスポットライトが当たったのが、噛みつきを武器として戦う戦士「ジャック・ハンマー」です。

 主人公「範馬刃牙」の腹違いの兄であるジャックは、強くなるためならドーピング含めあらゆる手段を使い、初登場した第1部『グラップラー刃牙』の「最大トーナメント編」以降、さまざまな敵と戦っているメインキャラのひとりです。骨延長手術で身長を2m43cmにし歯を全部チタンに変えたジャックは、『刃牙らへん』では「紐切り鎬(しのぎ)」の異名を持つ斬撃拳の使い手「鎬昂昇(しのぎこうしょう)」と対戦しました。

 そして、「噛道(ごうどう)」と呼ぶ、技にまで昇華させた噛み付きで鎬昂昇に勝利したあと、ジャックは父「範馬勇次郎」からホテルの高級レストランに招待されます。

『刃牙』シリーズのハイライトである、第3部『範馬刃牙』での刃牙と勇次郎による「地上最強の親子喧嘩」開戦前の会食(同じホテル)を彷彿とさせる親子の食事は、高級レストランでのマナーを知らないジャックに、勇次郎が親らしく対応するという微笑ましい光景が描かれました。しかし「範馬の血」を持つ親子同士がただで終わるわけはなく、ジャックが勇次郎を挑発し、勇次郎はかつて刃牙にやったようにジャックのお尻に強烈な張り手をかまします。

 そのまま本格的に開戦……ということにはならず、ジャックはホテルから帰りましたが、この親子はいずれ再戦することになるかもしれません。かつてジャックは最大トーナメント後に勇次郎に挑んで、嚙みつき技で返り討ちにされています。しかし、『刃牙らへん』に入ってから勇次郎もジャックの強さを目指す姿勢、実力を何度も賞賛しており、ジャックが昔よりも何段階も強くなっていることは間違いありません。果たして、今回はリベンジとなるのでしょうか。

五老星が描かれた『ONE PIECE FILM RED』キャラクタービジュアル  (C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

まさかの戦闘力を持っていた「ジジイキャラ」たち

●ついに五老星の名前と能力が明かされる『ONE PIECE』

 最終章に入り、物語の行く末が大注目されている『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)では、第233話で初登場して以来20年以上の間、謎だった「五老星」のそれぞれの個人名と肩書き、能力が明かされ、大きな話題になっています。

 五老星とは、世界政府の本拠地「聖地マリージョア」の「権力の間」にいる、世界政府の最高権力者である5人の老人たちのことで、海軍元帥も彼らの部下でしかありません。その五老星は、最終章の「エッグヘッド編」にて、全世界通信で世界の秘密を話そうとする天才科学者「ベガパンク」を止めるため、5人全員がその能力を解放します。彼らは伝説上の怪物に変身しており、ざっとまとめると下記のとおりです。

・トップマン・ウォーキュリー聖:(法務武神)猪のような妖怪「封キ(ほうき)」に変身する。
・イーザンバロン・V・ナス寿郎聖(財務武神):白骨化した馬の妖怪「馬骨」に変身する。
・ジェイガルシア・サターン聖(科学防衛武神):牛のような角を生やし、上半身は人で下半身は蜘蛛の妖怪「牛鬼」に変身する。
・シェパード・十・ピーター聖(農務武神):巨大なミミズのような怪物「サンドワーム」に変身する。
・マーカス・マーズ聖(環境武神):鳥の姿の妖怪「以津真天(いつまで)」に変身する。

 彼らは「悪魔の実」のなかの「動物系 幻獣種」の能力を持っているように見えますが、なぜかまだ悪魔の実の記述がありません。ほかにも、致命傷を負ってもすぐに復活する不死身の肉体を有するなど多くの謎が残っており、今後の展開への期待が広がっています。

※噛道の「噛」は、正確には異体字
※「封キ」の「キ」は「豕+希」