少女マンガ表紙の「いま」と「昔」

 少女マンガの表紙といえばイラストが四角い枠で囲われた、統一感のあるデザインを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? ただ最近は書店などで枠のデザインを見ることはかなり減り、1冊ごとに表紙のデザインが異なる少女マンガが増えています。

 少女マンガ表紙の枠は、いつの間に消えてしまったのでしょうか? 今回は白泉社広報課にお話を聞きました。

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ーー白泉社では、はじめから表紙のイラストが四角い枠のなかに描かれるデザインだったのでしょうか?

 はい、初めからあのデザインになります。弊社の創立メンバーが「りぼん」「別冊マーガレット」編集部出身だったので、当時の集英社女性コミックス「りぼんマスコットコミックス」「マーガレットコミックス」の装丁を模したデザインになりました。

ーー四角い枠はひと目見て少女マンガと分かるデザインでしたが、どうして変更されたのでしょうか?

 枠があると、作品の世界観を伝えきるのが難しい……という話が数年間ありました。先だって「花とゆめコミックススペシャル」というB6判で発売する作品が増え、『暁のヨナ』といった標準サイズの新書判コミックスでも、2013年より自由なデザインに順次移行しました。ただ、なじみのあるトリコロールデザインは残したいということで、右上にロゴのような形で残しております。

ーー2024年5月時点では、旧デザインを使っている作品はありますか?

『ガラスの仮面』『パタリロ!』『夏目友人帳』『赤髪の白雪姫』などのシリーズは現在も旧デザインで発売しています。また、2024年5月2日に発売された『恋だの愛だの』新シリーズ『恋だの愛だの〜君は僕の太陽だ〜』(著:辻田りり子)も前シリーズに合わせて旧デザインになっております。

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 今回、白泉社に聞いた結果、少女マンガの表紙にあった四角い枠のデザインが減った理由が分かりました。また、四角い枠は白泉社の創設メンバーが「りぼん」などの出身だったことが関係していることも判明しています。

 2024年は「花とゆめ」が50周年を迎え、展示会「創刊50周年記念 花とゆめ展」が六本木にて開催中です。展示では、四角い枠のデザインに入り込めるフォトスポットがあり、イラストの部分に自分が入ったような写真を撮影できます。

「表紙の四角い枠」の背景を知ったうえで、改めていまと昔の少女マンガを比べてみるのも楽しいかもしれません。

※記事の一部を修正しました。(2024年6月14日12時42分)