京都市在住のフードコラムニスト門上武司さん(71)が、食と歩む日々をつづった雑誌「別冊あまから手帖 食べる仕事 門上武司」を出版した。「食に思いを込めれば、人生は変わる」との信念を込めた1冊で、「食を考える時間の大切さを改めて知る機会になった」と語る。

 古希を機に、これからの食文化を考える雑誌を作りたいと、自身が編集顧問を務める雑誌「あまから手帖」の別冊として昨年11月に出版した。

 門上さんの日常に焦点を当てた企画では、定番の朝食として自宅で豆をひいたコーヒーとお気に入りのパンを紹介。さらに、喫茶店「六曜社」(京都市中京区)のモーニングに舌鼓を打ち、昼食はレストラン「洋食おがた」(同)でハンバーグを、夕食は大阪で鉄板焼きをたいらげ、立ち食いそばで締めるという1日5食のプライベートが記されている。

 対談では、作家原田マハさんや、京都芸術大副学長で放送作家の小山薫堂さんらが登場する。食を通じて人がつながる「縁食論」を出版した京都大の藤原辰史准教授とのやりとりでは、「一食たりとも無駄にはしたくない」と食への強いこだわりをのぞかせる。門上さんは「人間たらしめる衣食住のうち、毎日最も多くの回数をこなすのが食。何げなく過ごしてしまう一食を、どこで、誰と何を食べ、どう感じるかと考えるのは人生を豊かにする大事な要素」と話す。

 他にもこれまでに出会った「刺激を受けた料理人」や「期待する料理人」、全国に熟成肉を提供する精肉店「サカエヤ」(草津市)の代表など、自身がほれ込んだ人々を紹介している。自ら考えた「最後の晩餐」などもあり、食への情熱が多彩に描かれている。

 1100円(税込み)。全国の書店で購入できる。

(まいどなニュース/京都新聞)