スウェーデンで生産される塩漬けニシンの缶詰で、その強烈な臭いから「世界一臭い食べ物」と呼ばれているシュールストレミング。今、SNS上ではそんなシュールストレミングを実食したレポートが大きな注目を集めている。

「世界一くさい食品こと『シュールストレミング』、正直かなり覚悟を決めて挑んだのですが、集まった人たちみんな異臭に対する経験値が高く、『食べ物としてはくさいね』という結論を出してすぐに完食しました。現場からは以上です。」とその模様を紹介したのは会社員の迫野さん(@Hynobius36)。

その名はよく知られているが、そこそこいいお値段がするのと恐怖感とでなかなか手が出せない人が多いであろうシュールストレミング。こうやってレポートしてくれる人がいるのは非常にありがたいことだ。

今回の投稿に対し、SNSユーザー達からは

「大体の人が経験したことのないシュールストレミングですが、匂いはさることながら、飛び散る液にも苦戦すると思います。経験値の高さに脱帽です・・・というかどうやって経験値高めたんですか( ᷇࿀ ᷆ ?」
「横浜で『臭い展(においてん)』と言うイベントがあってシュールストレミングの匂いを嗅いだことありますが、私個人的には中国の『臭豆腐』のほうが何百倍もキツかったです でも、シュールストレミングは食べた事がないので味はちょっと気になります」
「有識者の方が言っていたが、我々がイメージしがちな『ヤバい』シュールストレミングは過醗酵してしまったもの」

など数々の驚きの声が寄せられている。

挑戦者に聞いた

迫野さんに話を聞いた。

ーー今回の集まりはどんな趣旨のものだったのでしょうか?

迫野:今回は、シュールをはじめ、サメの心臓、世界一甘いお菓子であるグラブ・ジャムン、キュウリ味のポテトチップスなど、珍しい食品を食べるために知人たちに集まってもらいました。私はシュールについて、『もやしもん』という漫画で知ってからずっと気になっていました。しかし、世界一臭い食品と聞いて一人で食べる勇気が出なかったことや、1缶が税込で5940円(三幸貿易)と高額であることから、これまでなかなか手が出せずにいました。

先日、知人数人とシュールの話題になり、人を集めてみんなで食べようという流れになりました。会には学生時代からの友人や後輩、SNSで知り合った知人など、私を含め11人が集まりました。

ーー異臭の経験値が高い方ばかりなんですね。

迫野:メンバーは全員、生きものや珍しい食材が好きな知的好奇心の強い人たちです。動物を飼育していて排泄物の臭いに接していたり、腐った動物の死体から骨格標本を作ったことがあったりと、異臭には耐性がついていました。全員、捨てても良い服を着て、食器も使い捨てのものを用意するなど、覚悟をもって臨みました。

ーーシュールストレミングの臭い、味わいのご感想をお聞かせください。

迫野:シュールは、周りに他の人がいない屋外で開けました。開けた瞬間、動物性の生ゴミが腐ったような臭いが噴き出し、現場は騒然としました。ハエがすぐに集まってきたことには驚かされました。臭いは強烈でしたが、これまでに経験してきた「食べ物ではない異臭」と比べるとそれほどではなく、口に含んでも吐き気は催しませんでした。それよりもキツかったのが塩気で、単体では食べられないほどとてもしょっぱかったです。それは食パン、じゃがいも、トマト、タマネギ、サワークリームと一緒に食べることで解決しましたが、食感が刺身のようで、鮮度を感じたのがかえって怖かったです。

また、黒胡椒をかけることで臭いがかなり緩和され、胡椒の偉大さを感じました。結局誰一人逃げ出すこともなく、皆で美味しくシュールを完食しました。

ーー投稿への反響について。

迫野:シュールを輸入販売している三幸貿易様の公式Xから引用リプライをいただいたことがうれしかったです。予想を超えて反響が大きかったことはもちろん、シュールに対する世間の関心の高さにもびっくりしました。臭いや味覚はSNSだと共有できないので、興味のある方は迷惑のかからない場所でぜひチャレンジしてみてほしいです。

◇ ◇

迫野さんのお話にあった通り、シュールストレミングは三幸貿易株式会社のウェブサイト等で購入できる。覚悟のある方はぜひ自己責任でチャレンジしていただきたい。

なお今回の話題を提供してくれた迫野さんは日々、SNS上で生き物や生物学に関する情報を発信中。無二のカエル好きという一面もあり、学生時代に執筆したカエル図鑑『日本のカエル48偏愛図鑑 東大生・さこの君のフィールドノート』(河出書房新社)は全国学校図書館協議会選定図書にも選ばれている。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)