インコや小動物中心の保護や里親探しを行う「ことりのおうち〜バードアニマルレスキュー」。運営元である「NPO法人ことりのおうち」の理事長、高見広海さんは先日、X(旧Twitter)に衝撃的なポストを投稿。多くの反響が寄せられた。

匿名で一方的に送りつけ…飼育費は善意が当然!?

「どういうこと!?ホント命をなんだと思ってるんですか?ゆうパックで送られてきて、これじゃ不法遺棄と同じだし…。こんな袋で空気穴もなくカイロまで付けられたら暑かっただろうに…。飼い主が亡くなったなら協力はします!でも名乗りもせず、命をこんな危ない方法で送るなんてありえないです…。

一方的に送ってきて、お世話にかかる費用は店の資金や支援者の善意の寄付でやるのが当たり前の考えなんですか?猛暑日なら死んでたし…ホントこんなことはしないで、必ず電話にてご相談ください!必ず力にはなるので!」(「NPO法人ことりのおうち」Xの投稿より)

匿名で送られてきた「ゆうパック」の中身はなんと、プラスチックケースに入れられた「一羽のセキセイインコ」。送り状などに差出人の記載はなく、ケースを包む紙袋には空気穴も空けられておらず、「飼い主が亡くなった為、飼育ができなくなりました。どうかお引き取りいただけたら幸いです」と書かれた青い紙切れだけが貼られていた。さらにこの暑い中、緩衝材が詰められたケースの中には、熱中症や酸欠、引火の危険もある「使い捨てカイロ」が入っていたという。

問題は「ゆうパック」じゃなく、無責任な依頼者

「小鳥」を「郵送」出来ることに驚く人もいたが、日本郵便では、生物の生命や健康を損なうことがないような取り扱いがされているなど、一定の条件を満たしている場合であれば、「小型の鳥類」をゆうパックで送付することが出来る。ただし、複数の地域区分郵便局を経由しない地域であること(原則として同一都道府県内の近距離宛)など、いくつかの条件が必須となる。

Xに投稿された送り状の画像を見ると、差出人の住所は「ことりのおうち〜バードアニマルレスキュー」と同じく神奈川県内だが、名前の欄には「同上」とだけ記載されており、あたかも同県内に住む「ことりのおうち」の関係者が自ら保護施設宛てに送ったかのような印象を受ける。だが、「ことりのおうち」の関係者が当該インコを郵送した事実はなく、実質「差出人不明」で送付された形だ。

寄せられた多くのコメントのなかには、「ゆうパック配達してます。よく『レース鳩』を運ぶことがあります。鳥好きなので、電話番号があれば時間指定前でも電話してなるべく早く渡せる努力はします。しかしこのように荷送人の連絡先も荷受先の電話番号もない状態で生き物を引き受けるべきではないですよね」といった、現場の声も見受けられた。

高見理事長に伺ったところ、「こういった形で保護動物が郵送されてきたのも、依頼主が匿名だったのも初めてです」とのこと。問題は「ゆうパック」ではなく、鳥に関わるプロでもない素人が「小鳥の命」を軽視した形で、一方的に「匿名」で保護を依頼するという無責任さ、にあるという。

動物遺棄は犯罪となるため、高見代表はXを通して、「送り主さんはご連絡ください!ない場合は明日警察に届けます」と、差出人へのメッセージを投稿。すると翌日、当該人物が泣きながら謝罪の電話をかけてきたという。

せめて住所や名前を隠さず送っていただきたかった

「せめて住所や名前を隠さず送っていただきたかったです…。その時点で後ろめたさがあって隠したい考えが見えてしまうので、生き物に対する誠意がなさすぎるかと…。同時に日本郵便さんには、せめて送り主の欄は書くように徹底してもらうことと、生き物送るには段ボールや木箱等にしてくださることを願います」「送られてきたセキセイさんは生後半年らしく、飼い主さんが亡くなられたのは事実みたいです。電話するのもかなりの勇気が必要だったと思うので、警察には届けないで終わりにしたいと思います」(「NPO法人ことりのおうち」Xの投稿より)

高見理事長の投稿に対して、Xには多くの憤りの声が寄せられた。

「お引き取りいただけたら幸いです」じゃないよ!

「相談もなしに突然送られるなんてあまりにも身勝手ですよね…」

「お引き取りいただけたら幸いです……じゃないよね」

「発送元記載しないところから、悪意しかないですね…悲しいです」

「ゆうパックでどうのこうのよりも、ことりのおうちさんがやっているボランティア活動は当たり前ではないんで、後はよろしくみたいな送り付け方はやっぱ社会人としてどうかと思ってしまう」

高見理事長は、「この機会に、鳥や小動物の保護施設が神奈川県藤沢市にあることをたくさんの方に知っていただきたい」と、X(旧Twitter)に投稿。改めて、鳥や動物たちの命を繋ぐ「ことりのおうち〜バードアニマルレスキュー」の保護活動について、高見理事長にお話を聞いた。

生き物は終生飼育が当たり前。でも…もしもの時は必ず相談を!

ーー本来はどういった手順で保護を依頼するべきなのですか?

「まずは当施設へ電話にて相談→当施設に持ち込み、または有料にて引取り→保護活動への寄付をしていただく。その後、当施設にて里親探し、という形になります」

ーー「ことりのおうち〜バードアニマルレスキュー」のご活動や、鳥たちの里親制度などについて教えてください。

「インコや小動物にも保護活動や保護施設があり、ペットショップでの購入だけでなく、保護施設から里親としてお迎えするという選択肢もあることを、ぜひ視野に入れてみてください。

生き物は最後まで飼う『終生飼育』が当たり前です。でも、無理をして飼うのも生き物のためではないですし、もし何らかの事情で飼えなくなった場合は、絶対に野外に逃したり餓死させたりせず、まずは当施設に電話でご連絡いただいた上で引き取り、幸せにしてくださる方に繋ぎますので、ご相談いただけたらと思います」

◇ ◇

「一般家庭からの依頼だけでなく、当施設には、障害や病気を持つ子、明日には死んじゃうかもしれないような、ペットショップにすらいけない子なども、ブリーダーさんや同業者などからも持ち込まれます。例えあと一日の命としても…幸せな家族にお迎えされ、名前をつけてもらい、生涯を全うしてもらいたい!という思いから活動がスタートしました」と、「NPO法人ことりのおうち」の高見理事長。

「ことりのおうち〜バードアニマルレスキュー」では現在、セキセイインコの他、多くの保護鳥や保護動物が「ずっとの家族」を待っているという。運営元である「NPO法人ことりのおうち」では現在、継続型のクラウドファンディングを行なっている。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)