岸田文雄首相は1日、能登半島地震を受けた被災地の観光支援策「復興応援割」について、石川県能登地域では補助率を7割とする方針を表明した。「手厚い復興応援割を復興次第ただちに開始できるよう、具体化を進めていく」と述べた。視察先の同県七尾市の和倉温泉で記者団に明らかにした。

 国が石川、富山、新潟、福井の被災4県を対象に3月から実施してきた「北陸応援割」では、旅行代金を1人1泊当たり5割(上限2万円)補助した。能登地域では観光産業も被害を受けたため、復興状況をみながらより手厚い内容での実施を検討するとしていた。

 首相はまた、和倉温泉で大きな被害を受けた護岸の復旧工事を国主導で行う方針を示した。「中心的観光名所だ」との認識を示したうえで、「国が代行復旧するとともに、民有護岸も地方公共団体に所有権を移管して再整備するなど、復興のための基盤づくりを加速していきたい」と語った。

 首相が被災地入りするのは2月24日以来3回目。首相は1日、国が復興に向けて石川県輪島市に設置した支援拠点「能登創造的復興タスクフォース」の発足式にも出席し、「課題を霞が関一体となって解決する。被災自治体のニーズに沿った創造的復興まちづくりを全力で支援する」と述べた。被災した県立輪島漆芸技術研修所の再開に向け、国として追加支援を行う方針も示した。支援拠点には常駐職員150人規模を配置する。【園部仁史】