米国のバイデン大統領は7日、連邦議会で開かれたホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の犠牲者を追悼する式典で演説した。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区での軍事作戦に反対するデモが米国各地の大学で過激化していることなどを念頭に「反ユダヤ主義やヘイトスピーチ、暴力の脅しは、米国のいかなる場所にも存在しえない」と批判し、イスラエルに寄り添う姿勢を強調した。

 バイデン氏は、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃について「ユダヤ人への憎悪が息を吹き返した。ハマスがホロコースト以来の大虐殺を引き起こした」と指摘。さらに「ユダヤ人の独立国家としてイスラエルが存在する権利は、たとえ意見の相違があったとしても揺るぎない」と述べた。

 米国内では、ガザの人道状況の悪化に伴い、イスラエルの後ろ盾となってきたバイデン政権への批判が高まっている。バイデン氏も最近はイスラエルのネタニヤフ首相への不満を公言することもあったが、今回の演説ではガザ情勢への直接の言及はなく、改めてイスラエル支援の姿勢を鮮明にした格好だ。【ワシントン松井聡】