久々に会えば「歳を取ったもんだ」と、つい健康の話をしてしまう。40歳を過ぎてから、ちらほらと健康が気になり始めた方も多いのでは? 吉本興業所属のお笑い芸人兼医師・しゅんしゅんクリニックPさんの『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』は、そんな悩めるアラフォー世代の健康にまつわる疑問を、生活習慣や健康、外見といったテーマごとに解説しています。しゅんしゅんクリニックPさんの医療知識や体験から感じたことを通じて、日常に潜む心配事に一つずつ向き合っていきましょう。
※本記事はしゅんしゅんクリニックP著の書籍『40歳を過ぎるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(ヨシモトブックス:発行)から一部抜粋・編集しました。

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生理について何も知らない男性は時代遅れです
生理(医学用語では月経)に伴う不調は、腹痛や頭痛、倦怠感、食欲不振、むくみ、イライラ、抑うつなど、実に200以上もあるといわれています。
医者でありながらも僕自身は専門外で、生理について豊富に知識があるとはいえません。そもそも昭和生まれの多くの男性にとって、女性の生理というものは、触れてはいけないタブー的な側面があったように思います。小学校高学年のとき、女子だけが何やら教室に集められて〝特別な授業〟を受けていました。今思うと生理についての教育だったと思うのですが、もしもその授業が男子にも開かれたものだったとしたら、こうした女性特有の現象をタブー視する社会や知識不足も生まれなかった、もしくは、少しでも考えるきっかけになったのかも、とも思います。
その知識不足が露呈するのが、巨大地震などが起きた際の避難所の生理用品不足です。被災地の支援物資として、水や食料、粉ミルクやおむつといったもののほかに、生理用品が運ばれる映像をよく目にするものの、SNSを見ると「もらえたのはたったの一枚」といった深刻な投稿も。女性は生理中にどれだけのナプキンが必要なのか、交換頻度はどのくらいなのかなど、男性には生理の知識が浸透していないことがうかがえます。

とはいえここ最近は、生理について男性も積極的に知ろうとする機運が高まっています。大先輩である博多華丸・大吉の大吉さんは、産婦人科医の高尾美穂先生との対談本『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』(辰巳出版)で、ご自身の知識不足をあけすけにお話しされつつ、生理のメカニズムから、生理痛、更年期や閉経、そして社会的な課題まで様々なレクチャーを受けていました。また、以前僕が出演した「ちょっと先のおもしろい未来―CHANGE TOMORROW―2023」というイベントでは、おなかに装着した電極パッドに電流を流すことで男性でも生理痛を疑似体験できるコーナーが設けられ、Everybodyという男女コンビのタクトOK!!さんが体験していましたが、痛みで顔をゆがめる様子を見ているだけでおなかが痛くなりました。こうして生理にまつわる女性と男性のズレを埋めるためのイノベーションが始まっているのはとても良いことです! 僕もYouTubeチャンネルで生理痛の仕組みと対処法について解説していますので、チェックしてみてください。
生理と併せて知っておきたいこと
生理と併せて語られるべきは、PMS(月経前症候群)のこと。生理の前、3〜10日ほど身体的・精神的な不調が続く時期を指します。高尾先生と大吉さんの対談本によると、1カ月のうちで調子がいい日は10日ぐらいという女性もいるようです。
女性からは「生理痛は我慢するもの」「生理で学校や会社を休むのは甘え」「生理ならまだしも、PMSに対しては職場の理解がないから休めない」という声もよく聞きます。つくづく昭和的な根性論って、男性だけのものじゃないと感じるエピソードですよね。医師の僕から言えることは、日常生活に支障が出てパフォーマンスが落ちるようなら、休んでもいいですし、鎮痛剤や低用量ピルの服用、レディースクリニックの力に頼りましょう!
そして男性は、女性の心と身体のサイクルを知って、相手を気遣うことが大事です。対談本の中で、高尾先生は「女性の体調が悪そうだったら『生理かPMSなのかな』、結婚して何年かのあいだなら『もしかして妊活しているのかもしれない』、40代半ばぐらいであれば『更年期の症状がつらいのだろうか』と想像力をはたらかせてほしい」とお話しされていました。そばにいる女性に対し「もしかして」と思ったら部屋をクーラーで冷やしすぎない、そばでタバコを吸わないなど、些細なことでもいいんです。僕も妻の調子が悪いときは、率先して動くようにしていますし(妻からすれば全然足りないと思いますが)、イライラしているときは余計なことは言わないようにしつつ、「どうした? 何かあった?」と優しく声をかけるよう心がけています。

笑いの処方せん
実は痛みに弱い男性諸君!生理について知れば知るほど女性に対する見方が変わるはず!



しゅんしゅんクリニックP
1983年7月2日生まれ。群馬県前橋市出身。吉本興業所属のお笑い芸人兼医師。アイドルグループ「吉本坂46」メンバー。2008年、群馬大学医学部医学科卒業。NSC東京校16期卒業後、2011年に漫才コンビ「フレミング」を結成して舞台を中心に活動するも2016年に解散。ピン芸人に転向後、医者あるあるの歌&ダンスネタ「ヘイヘイドクター」が注目を集めてブレイク。以降、テレビや舞台、YouTubeをはじめ、学園祭や医学系学会にも多数出演するなど、幅広い活動を行っている。史上最高齢で神保町よしもと漫才劇場の所属芸人となったおばあちゃんとの漫才ユニット「医者とおばあちゃん」としても活動中。