【モデルプレス=2024/05/09】6人組ガールズグループ・IVE(アイヴ)が4月29日にリリースした新曲「HEYA」がヒット中だ。韓国の伝統美とトレンディなキュートさを融合させ、こだわり抜かれた芸術面でも注目を浴びている。

◆“太陽を愛した虎”描くIVE「HEYA」

2nd EP『IVE SWITCH』のタイトル曲である「HEYA」は、デビュー曲「ELEVEN」からIVEのヒット曲を生み出し続けるライアンジョン(Ryan S. Jhun)が手掛けた。「ELEVEN」から続く強烈なメロディーラインのパワフルさと、前作「Baddie」からIVEのもう一つの強みとなったヒップホップが調和し、更なるインパクトを残す「HEYA」。すでに韓国内音源チャートでは毎日TOP5の常連となっている。

楽曲の世界観は、韓国の象徴でもある“虎”が登場する逸話をベースに、韓国の伝統美と最新のトレンドを融合させた。韓国語で“太陽”を表すタイトルや歌詞からも伝わるように、“太陽を愛した6匹の虎”の物語を描いた壮大な物語に入り込むようなアート作品だ。

◆韓国の伝統とトレンドを融合させたIVEだけの世界観

MVを監督したのはIVEデビュートレーラーを担当したユン・スンリム氏。彼女のInstagramに掲載されている企画資料によれば、韓国伝統美術の典型的な要素を直接的に借用することを避け、IVEならではのキッチュでキュートなムードを引き出そうと努力した痕跡がうかがえる。

例えば韓国の伝統文化では風水思想をもとにした「五方色」(青・赤・黄・白・黒)や「五間色」(紫・紅・碧・緑・黄)がよく用いられるが、「HEYA」MVに登場するのはIVEのY2K感性とマッチするトロピカルカラー。古典的な素材を使いつつも、世界が注目する現代のK-カルチャーを担う自負も伝わってくる。監督によればMVの演出は企画資料だけで800ページを超えたという。

◆ミュージックビデオは韓国伝統絵画と最先端3Dが融合

MV本編やティーザー映像で最も印象的なのが、韓国の伝統画法で描かれたメンバーや虎のアニメーション。東洋画に基づく作品活動を行う若き女性クリエイターのパク・ジウン氏が原画を手掛けた。ジウン氏は普段、東洋画の伝統画法で現代風の少女を描く「少女四天王」という作品で知られている。

ジウン氏が「HEYA」の制作チームから求められたのは「伝統的だが目新しい韓国性、クラシックでありながらトレンディ…」といった伝統とトレンドが混在するイラスト。パープルやピンクといったIVEらしい色使いを用いながらも、東洋ならではの平面的な水彩画、デフォルメされた虎の姿などがオリエンタリズムへの好奇心を掻き立てる。

なお、歴史的に中国画、日本画等と混ざり合いながら発展した韓国伝統絵画は、そのジャンルを表す言葉として「東洋画」と「韓国画」が混在しているという。この概念を巡る葛藤は韓国特有のものであり、ジウン氏はその葛藤を自身のスタイルで表現しようと努力しているクリエイターだ。

そしてMVでは、平面的な東洋画のイラストと、最先端の3Dアートが融合する。平面でしか見たことのなかった山水画の山脈などが、違和感なく3Dセットになっている部分はとても面白い。3DデザインはXGのミュージックビデオ等にも参加するJames Choe氏らが骨を折った。

◆衣装も伝統とトレンドを融合 日本人ネイルアーティストも参加

「伝統とトレンドの融合」を衣装で表現したのは、XGを長らく担当している韓国のスタイリストデュオIBAEKILHO。伝統的な韓服だけでなく、韓国伝統絵画のデザインをアパレルに落とし込むアーティストキム・ヌリ氏が制作した伝統模様のデニム、オリエンタルな素材を生かした韓国ブランド「Le Vermillon」「MINJUKIM」のほか、トレンド真っただ中の「MIUMIU」のポロシャツ等を絶妙なバランスで組み合わせた。

そしてヘアアクセサリー、ネイルには、米セレブからNewJeansらK-POPアーティストまで御用達の日本人ネイルアーティストTomoya Nakagawa氏が参加。花蝶モチーフをトロピカルカラーの3Dデザインで仕立てたアクセサリーがMVの不思議なムードを引き立てている。

タイトル「HEYA」だけでなく、収録曲も愛の呪文を唱える「Accendio」などファンタジックな世界観で彩られた今回のEP。魔法少女を具現化したようなコンセプトフォトも話題になった。こちらのスタイリングでもTomoya氏のネイルが使用されているほか、ロンドン発のデジタルファッションブランド「XTENDED iDENTiTY」もカスタムアイテムを提供している。(modelpress編集部)

【Not Sponsored 記事】