8度目の顧客満足度1位

 英国では、2024年になっても日本の自動車メーカーに対する信頼は厚い。

 2024年1月に発表された、顧客サービス協会による「英国顧客満足度指数(UKCSI)」では、スズキが26社の自動車メーカー中1位に選ばれた。これは

「8度目の受賞」

である。

 トヨタや日産と違い、英国には生産拠点をもたないスズキだが、「スイフト」への評価が非常に高い。

 スイフトは、

・インド
・日本
・欧州

の順で売れていて、欧州のなかではフランスに次いで英国が販売台数が多い国だという(2024年2月20日付『週プレNEWS』)。

 いったい、英国ではスイフトのどんな点が評価されているのだろうか。

スズキUKのウェブサイト。2024年1月に発表された顧客サービス協会による最新の英国顧客満足度指数(UKCSI)の結果で、8回目の自動車ブランド第1位に選ばれたとある(画像:スズキUK)

優れた燃費

 英国は政府主導で電気自動車(EV)化が進められているが、その

・本体価格の高さ
・公共充電スポットの不足

から、現在失速中といった状況にある。ガソリン価格の高騰も起こるなか、タブロイド紙『エクスプレス』は、

「注目度が高いのはEVかもしれないが、信じられないほど経済的なガソリン車がたくさんある」

として、「燃費がよいガソリン車トップ5」を発表した(2024年3月11日付)。1位の「マツダ2」の平均燃費60.1mpg(ガソリン1ガロンあたりのマイル、約21.3km/L)に次いで、スイフトは2位の59.7mpg(約21.1km/L)だった。

・マイルドハイブリッド搭載で燃費がいい
・スタイリッシュでややスポーティーなスーパーミニ
・加速もトップスピードも悪くない

といった面が評価された。

2024年の自動車の信頼性指数ランキング(画像:ワランティワイズ)

壊れにくく高い信頼性

 2024年4月に新型スイフト(グローバルでは4代目)が英国で発売予定だが、中古車の視点でも評価されている。

 英国でもパーツ価格や人件費の高騰が続いているからこそ、ドライバーたちは今まで以上に車が壊れにくいこと、予期せぬ修理が発生しても価格が安く済むことの重要性を感じている。

 英保障プロバイダーのワランティワイズ(Warrantywise)による2024年の自動車の信頼性指数ランキングでは、スイフトが

「100点中87.8点」

で2位にランクインした。1位はトヨタのヤリスだったが、89点だったので、僅差である(2024年3月20日付)。

 ランキングは、3年落ちから10年落ちの車を対象とし、2020年1月から2023年9月までの

・修理依頼頻度
・故障時の平均車両年数
・平均走行距離
・平均作業時間

によって測定された。広く普及している車が高く評価されるのは、整備工場が問題を見つけやすいからだ。なおランキングでは、トップ10のうち

「7台」

を日本車が占めることになった。

車体の軽さ

 燃費のよさと車が長持ちしやすいことだけでも魅力だが、英自動車メディアの『カーワウ(Carwow)』は、「新型スズキ スイフトの五つの優れた特徴」という記事をリリースしている(2024年4月3日付)。

 そこでまず挙げられていたのが「安さ」である。 1万8699ポンド(約359万円)からで、発光ダイオード(LED)ヘッドライト、リバースカメラ、ワイヤレスアップル・カープレイ、キーレスエントリー、さらにはアダプティブクルーズコントロールと標準装備が充実している。他の車ならもっとすることからコスパのよさが評価された。

 次の特徴は948kgという「軽さ」。軽ければ、曲がりくねった道で車を運転するのが楽しくなるし、何より燃費がよくなる。

 記事ではそのほかに

・ハイブリッド
・全輪駆動車の選択も可
・7年保証

にも触れている。

スズキUKのウェブサイト(画像:スズキUK)

スイフトの内装、デザインに議論

 一方、自動車専門誌『オートエクスプレス』は、新型スイフトを

「コスパはいいが、インテリアが時代遅れ」

というタイトルでレビューを書いている(2024年3月22日付)。インテリアの何が問題なのか。

「材質の品質は、明らかにマツダや多くのライバルのスーパーミニと同じではない。ほぼすべての表面がプラスチックでできており、いくつかのタッチポイントは硬くて傷つきやすいプラスチック製だ」

 報道記者のエリス・ハイド氏は、ソフトタッチの素材を求めていたようだ。

「旧型には様式化されたスピードメーターとタコメーターがあってアルファロメオをほうふつとさせていたが、それらは廃止され、味気のないものに変わってしまった」
「先代よりも大きなタッチスクリーンが搭載されているが、そのセットアップは分厚い装飾などのせいですでに時代遅れ」

と、ダッシュボードまわりのデザインが評価されなかった。記事では、内部のサイズ感についても言及している。

「前の座席には、身長が6ft(約183cm)近い人が前に座ると足元空間は限られる」
「265Lのトランクで十分な人もいるだろうが、ライバル車ではもっと多くを収納できる」

この記事では非常に詳細にさまざまなポイントをレビューしていたので、その分よい指摘も悪い指摘もそれなりに出ていた。

 しかし、スズキ・スイフトの評価が高いのは、以前から日本車について世界中でいわれているように、「コスパがよくて、燃費がよくて、簡単に壊れない」からだ。

 英国では日本車が外国車になる。

「価格が高くても(コスパでなく)品質がいいから」

といって日本車のオーナーであることを誇らしく思っている人に筆者は何人か会ったことがある。これからも信頼性の高い日本車をつくりつづけてほしいものである。