朝顔を植えて地域を結ぶ「明後日(あさって)朝顔」プロジェクトの活動が5月25日、アーティストで東京芸術大学学長を務める日比野克彦さんを迎えて金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で行われた。(金沢経済新聞)

 朝顔の苗植えの様子

 日比野さんが2003(平成15)年から実施している同アートプロジェクト。朝顔の育成を通して人、コミュニティー、地域をつなごうと莇平(新潟県十日町)で開催されたアートトリエンナーレの会場で始まり、毎年その「子孫」が全国各地で育てられている。同館でも2008(平成20)年、日比野さんの個展と共に実施された。

 当日は高校生を含む約40人が集まり、キックオフミーティングで日比野さんの説明を聞いた後、珠洲に届ける朝顔の苗を作るために各地で採取された種をまき、事前に育てられた苗を同館の敷地にある「みらい畑」に植え、つるが巻き付くようにロープを設置した。

 日比野さんは「朝顔は震災やコロナ禍などに関係なく自然のリズムで生きている。人はそんな自然の持つ力に励まされることもある」「子どもたちのSDGs教育も近年は進んでいるが、知識だけではなく、こうした体験を通じた実感として記憶に残ると、将来的な行動変容につながっていくはず」と期待を込める。

 6月15日には能登の珠洲市にある金沢大学の能登学舎に苗を運び、同様のイベントを行う。同校グラウンドには能登半島地震被災者の仮設住宅が建てられており、そこの住人や地域の人たちと一緒に朝顔の苗植えを行うという。日比野さんは「被災者の人たちが協力して苗を植えることでコミュニティーを育むきっかけにしてほしいし、水をやって育てることで生きる力を感じてほしい。朝顔の種を受け継いできた各地域、そして苗を育てた金沢の人々に思いをはせ、つながりを感じてもらえれば」と呼びかける。