富士吉田市が4月25日、富士山の山肌に鳥の模様が現れる「農鳥(のうとり)」が確認されたと発表した。(富士山経済新聞)

 農鳥は、富士山7〜8合目の標高3000メートル付近に毎年4月下旬から5月に観測される鳥の形状をした残雪。富士吉田市では2008(平成20)年〜2009(平成21)年ごろから農鳥が確認された際の宣言を行っている。これまで、2021年は5月18日、2022年は4月29日、2023年は5月1日に宣言している。

 富士吉田市歴史民俗博物館が刊行する「富士八海をめぐる」によると、かつては農鳥が出る頃に種もみを苗間に下ろし、それが卵型になったら田植えをする目安としていたという。今は農作業が早まって、実際には農鳥が出現する頃に田植えを行うのが実態。1814年ごろに書かれた「隔掻録(かくそうろく)」に農鳥の記述があるという。

 市富士山課は「今年は寒い日が多く、桜の開花も遅れていたが、4月に入り暖かな陽の光にも恵まれたことから、例年よりも比較的早い出現となった。麓では厳しい冬の寒さが過ぎ去り、さわやかな風を感じられる暖かく気持ちの良い季節を迎えた。週間天気予報は日々変化しているが、これから迎えるゴールデンウイーク期間中は富士吉田市を訪れ、街中を散策しながら、お気に入りの富士山借景を探してみてもらえたら」と話す。