岡山市が現在、行政課題をスタートアップ企業から解決案を募集する「GovTech(ガブテック) challenge OKAYAMA 2024」の応募を受け付けている。主管は岡山市雇用推進課スタートアップ支援係。(岡山経済新聞)

 今回で3回目となる同プロジェクト。スタートアップ企業が、社会・行政課題の解決策となる製品やサービス、そのアイデアを提案し、構築・実証を行う。継続可能な成長と社会的な利益追求の両立を目指すゼブラ企業を含むスタートアップ企業から募集し、岡山市との協業のチャンスを与え、企業の成長支援ももくろむ。

 昨年は6つの課題で公募し、選ばれたスタートアップ企業は社会実証を行った。翌年、4つの課題は予算化された。このうち障害福祉課が公募した課題「障がい者就労継続支援事業所の営業・販路拡大」について、「Zero To Infinity」(東京都新宿区)が提案した就労継続支援事業所と企業を結ぶマッチングサイト「tanoma(タノマ)」の運用が始まった。障がい者と仕事のマッチングだけではなく、賃金の向上にもつながる施策になったという。

 今回は、庁内から集まった約10の課題から4つの課題について公募。実証にかかる経費として上限50万円を支援する。

 環境事業課のテーマは「新しいテクノロジーで、可燃ごみに埋もれた資源を活用したい」。今年3月からプラスチックごみの分別を始めた同市だが、まだ分別されていない可燃ごみの中に含まれる生ごみ、おむつ、せん定枝などを資源化することによってごみを減量したいと考えている。循環資源を生み出すことでごみゼロ社会への実現を目指す。

 観光振興課のテーマは「岡山城と岡山後楽園はセット。歴史も知りながら、楽しく巡ってほしい」。岡山後楽園の年間入園者数は約78万人に対して、岡山城の入場者数は43万人と少ない。現在もスタンプラリーのような施策は行っているが、両施設を結ぶルートを中心とした回遊を促進し、セットで楽しんでもらう案を募集する。両施設をセットで訪れる人を増やし、入場者数の増加を目指す。

 危機管理室のテーマは「柔軟な運営体制を構築し、誰一人取り残さない防災を実現したい」。
現在は、足が不自由な人など災害時の避難行動に支援が必要な人者が安全かつ迅速に避難できるための個別避難計画を町内会ごとに作ることになっているが、進捗(しんちょく)は芳しくない。市内でも要支援者は約1万人いるといわれ、迅速な作成が求められている。平成30年7月豪雨の教訓を踏まえて、「誰一人取り残さない防災」を目指す。

 創業支援・雇用推進課雇用推進係のテーマは「岡山で働く選択肢を。学生へのアプローチ方法を模索したい」。同市にある10以上の大学を卒業した学生のうち、市内で就職する学生は約半分。市内の学生、県外の大学に進学した学生の就職先として選ばれるように、同市が暮らしやすく、働きやすい街を目指す。

 創業支援・雇用推進課の塚原義博さんは「これまで、岡山や瀬戸内の企業からの応募は少ない。学生企業もほとんど見られない。テクノロジーはシステムやDXのようなデジタルなものに限らず、企業が持った技術やアイデアを応募してほしい。まだ実績がないスタートアップ企業には、実績を作る場として活用し、その後他の自治体でも展開できるチャンスとなれば。企業の成長の機会になり、社会・行政課題も解決でき、市民の生活にも役立っていく」と話す。

 6月28日にはオンライン説明会を開催。9月上旬から協働で開発に取り組み、来年3月に成果発表会を開く。応募の受け付けは7月12日まで。