今年の梅酒の仕込みが「梅の日」の6月6日、酒造会社「中野BC」(海南市藤白、TEL 073-482-1234)で始まった。(和歌山経済新聞)

 2Lサイズのみなべ町産「南高梅」

 同社では、和歌山県産「南高梅」の実を醸造アルコールと砂糖、水を入れた高さ4.2メートル、直径2.6メートルのほうろう製タンクで漬ける。漬け込み作業は6月末ごろまで約1カ月間続き、タンク35基、約300トンのウメを仕込むという。

 梅酒造りを統括する「梅酒杜氏(とうじ)」の藤原弘彰さんによると、今年は暖冬のためウメの花の開花が例年より3週間早く、ミツバチの受粉が活発に行われなかったことに加え、3月20日のひょう被害やカメムシ大量発生の影響が重なり、県全体ではウメの収穫量は例年の半分ほどという。同社は、梅の確保に成功し、例年通りの仕入れを見込む。

 当日は、みなべ町から仕入れた2Lサイズ(約4センチ)以上の南高梅8.5トンを水洗いし、藤原さんら9人がタンクに入れた。この日に仕込んだ梅酒は11月下旬に新酒「香る南高NOUVEAU(ヌーボー)」として出荷する。

 藤原さんは「18年梅酒造りに携わってきた中で最も不作の年。農家にウメの木の様子を見に行くと非常に実が少なく心配だったが、仕入れたウメは適度な雨と日照時間のおかげで実太り良好で安心した」と話す。「こんな年だからこそ腕が試される。貴重なウメを使っておいしい梅酒を届けたい」と意気込む。