「葬儀費用、見積りで100万円超えてる…誰が出すの?」

生活の中で、急にお金が必要になる場面は多い。葬儀費用もそのひとつだ。ただ、実際にどれぐらいの金額がかかるのか、誰が負担をすべきなのか分からない人も多いだろう。ここでは、葬儀費用の相場と内訳、費用負担の優先順位について解説する。安くするコツもお伝えしよう。

■意外と高い?葬儀費用の相場と内訳

葬儀費用の相場は、全国平均で百数十万円であることがわかっている。内訳には、手伝ってくれた人への謝礼金や運転手等への謝礼金など、意外な費用も含まれる。

葬儀の形式の多様化や社会情勢の変化などの影響で、葬儀費用の相場は減少傾向にあるといわれるが、それでも100万円を超えるとなると、なかなかの出費と感じる人が多いだろう。

株式会社鎌倉書房が行った「第5回お葬式に関する全国調査」によれば、調査参加者の葬儀に関する平均費用は110.7万円だった。ただし、この調査は2022年に行ったもので、いわゆる「コロナ禍」のまっただ中だったことから、過去の同調査に比べるとかなり少なくなっている。2020年に行った「第4回お葬式に関する全国調査」では184.3万円だったので、家族・親族だけでなく、友人・知人も参列する一般的な葬儀を望むなら、このぐらいはかかると考えておこう。

では、なぜ葬儀費用は高いのだろうか。それは、葬儀費用には次のようなものが含まれるからである。

<葬儀費用の内訳例>
● 医師の死亡診断書
● 通夜や告別式にかかった費用
● 葬儀場までの交通費
● 葬儀に関連する食事代(精進落としなど)
● 火葬料、埋葬料、納骨料
● 遺体の搬送費用
● お布施、読経料、戒名料など
● 手伝ってくれた人への謝礼金
● 運転手等への謝礼金
● その他、葬儀全般に必要な諸費用

なお、これらの費用は相続財産から控除できる可能性があるので、税理士に確認したうえで必要な手続きを進めて欲しい。

■葬儀費用は誰が負担する?費用負担の優先順位

あくまで一般的な話ではあるが、葬儀費用は喪主が負担することが多い。そして、喪主を決めるときの優先順位は以下のようになっている。

  1. 故人の配偶者
  2. 故人の長男
  3. 故人の次男以降の直系の男性
  4. 故人の長女
  5. 故人の長女以降の直系の女性
  6. 故人の両親
  7. 故人の兄弟姉妹
  8. 友人・知人

ただし、実際は遺族間の話し合いで誰が負担するかを決めてかまわない。筆者の周囲では複数の兄弟が父親の葬儀に関する費用を分担したというケースがあった。また、いわゆるおひとりさまの場合は事前に弁護士などの専門家やNPO法人・一般社団法人、終活支援サービス会社や社会福祉協議開などと死後事務委任契約を結び、費用をどのように用立ててもらうか、誰に喪主になってもらうかを決めておこう。

■葬儀費用を安くする方法

葬儀費用を安くする方法は大きく3つだ。家族葬にする・複数社比較する・葬儀業者の会員制度や互助会を利用するといった方法により、葬儀費用を抑えることができる。

●家族葬にする

家族葬にすることが葬儀費用を抑える、もっともスムーズな方法だ。家族葬とは、親族や本当に親しい人のみで行う葬儀のこと。葬儀に来る人が限られているため、式場の広さや通夜からの飲食接待費を抑えることができ、葬儀費用を安くできる。さらに費用を抑えたい場合は直葬も検討しよう。宗教儀式を行わず、火葬だけを執り行い葬ることを指す。ただし、人によっては嫌悪感を覚えることもあるうえに、既に菩提寺がある状態で了承を行わずに進めてしまうとトラブルのもとになるので注意して欲しい。

●複数社から見積もりを取る

葬儀業者によって葬儀費用は異なるので、複数社から見積もりを取ることで、より金額の低い業者に依頼できる。ただし、あまりに安い金額を提示された場合は、なぜその金額になるのかを聞いてみたほうが良いだろう。自分や家族が希望する内容を追加で盛り込んでもらうと他社より高くなることは十分にあり得るからだ。

●葬儀業者の会員制度や互助会を利用する

手続きが必要になるが、「葬儀業者の会員制度や互助会を利用する」というのも葬儀費用を安くするための一つの手だ。葬儀業者では、会員向けに葬儀価格を低く設定していたり、毎月の会費により葬儀費用の積立ができたりするところもある。そのため、葬儀業者の会員制度を利用することで、葬儀費用を安くできる。また、互助会を利用することも検討しよう。互助会も会員制度同様毎月一定額の掛け金を積み立てていくが、葬儀だけではなく結婚式など冠婚葬祭に関するさまざまなサービスにも利用可能だ。

■葬儀費用がいくらかかるのか事前に知っておくことが大事

家族・親族だけでなく、友人・知人も参列する一般的な葬儀を考えた場合、200万円近い費用がかかってもおかしくない。しかし、抵抗がなければ家族葬・直葬にしたり、葬儀業者から相見積もりを取ったりすれば節約は可能だ。自分が葬儀に対し何を望むかを踏まえたうえで、計画的に資金を用意していこう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。