2023年ファンタジア国際映画祭長編アニメーション部門の観客賞、金賞を受賞した塚原重義が原作、脚本、監督を務め、日本凱旋劇場公開長編アニメーション映画『クラユカバ』と、新しくシナリオ原案に「バッカーノ!」や「デュラララ!!」の成田良悟を迎えた『クラメルカガリ』。4月12日(金)より2作品が同時公開される本作より、2作品のメインビジュアルと本予告が解禁された。

『クラユカバ』は探偵、荘太郎が集団失踪事件の謎を追い、“クラガリ“と呼ばれる地下世界に足を踏み入れるミステリーエンタテインメント。主人公の荘太郎を「最もチケットが取れない講談師」と呼ばれる六代目、神田伯山が務め、黒沢ともよ、芹澤優をはじめとする豪華声優陣が参加している。また『クラメルカガリ』は、成田が『クラユカバ』のスピンオフ小説として執筆したシナリオを原案として制作されたもの。個性豊かなキャラクターたちが躍動する炭鉱の町“箱庭“を舞台に、日々迷宮の如く変化する町を地図に記す“地図屋”を営む少女、カガリを中心にした物語が描かれ、主人公のカガリを佐倉綾音が務める。

解禁された『クラメルカガリ』のビジュアルは、右手に地図を、左手にはランプを持って、いまにも新しい道を探しに行かんとする地図屋の少女カガリのハツラツとした様子が描かれており、その背景にはそびえたつ本棚や夕暮れに染まる市場などが見てとれ、カガリの冒険が多様な場所へ及ぶことを予感させる。カガリの背後には、幼馴染で同業仲間の少年ユウヤ(声:榊原優希)の姿が描かれ、険しい表情で視線を送っているのも気になるところだ。さらに、先日解禁されたばかりの新キャラクターの伊勢屋(声:大塚剛央)、栄和島(声:細谷佳正)、シイナ(声:森なな子)、飴屋(声:悠木碧)も取り囲むように描かれていることから、この町、箱庭でどんな群像劇が待ち構えているのか、より一層本編に期待が高まる1枚となった。

『クラユカバ』はこちらに向かって手を伸ばさんとしている主人公の荘太郎の姿が印象的なビジュアルとなっており、その手は我々を“クラガリ”に誘おうとしているのか、それとも事件解決の糸口を掴もうとしているのか、作品を観て確かめたいところ。さらに、「あなたもクラガリに曳かれている」とキャッチコピーの通り、“クラガリ”の奥底へ落ちていくような、我々も曳かれてしまう錯覚を覚えるような1枚に仕上がった。塚原監督の真骨頂であるレトロ世界観と装甲列車ソコレなどのガジェット類も細部まで描きこまれた、じっくりと細部まで楽しみがいのあるビジュアルとなっている。


あわせて解禁された『クラメルカガリ』の予告編は、オーイシマサヨシが高らかに歌い上げる主題歌「僕らの箱庭」の快活なメロディにのせて、雑多で愉快な箱庭の日常が垣間見えるコミカルなものとなっている。続々と登場するカガリを取り巻く個性豊かなキャラクターにも興味が尽きないなか、町で起きる爆発や地下から飛び出す謎の重機が出現し物語が進展。箱庭で起きるてんやわんやの大事件の結末が気になる映像だ。そんな町で暮らしながらも、地図を描くカガリの純粋で実直な可愛らしさを多分に味わいつつも、幼馴染のユウヤから告げられる「俺と一緒に来ないか?」という言葉。その想いにカガリはどう答えたのか。奇々怪々な箱庭という町で、カガリがユウヤとともに過ごす青春の一幕は見逃せない。


『クラユカバ』の予告編は集団失踪事件の手がかりを追ってクラガリへと向かう荘太郎の姿から始まる。そこで出会ったのは、「鬼」の一文字が刻まれた装甲列車ソコレに搭乗する部隊、タンネ率いる「鬼の四六三」の面々。チャラン・ポ・ランタンの「内緒の唄」に合わせて、行動をともにする荘太郎が“クラガリ”を牛耳るギャング福面党と爆破入り乱れる大抗争に巻き込まれていく様子がテンポよく描かれる。塚原監督らしいウノハナやツチブタと呼ばれる重機類からも目が離せないが、その最中で、少しずつ真実に近づいていく荘太郎が告げる「そろそろ種を明かすか!?」というセリフ。荘太郎が事件解決の芯を掴まんとする瞬間で予告は終わる。ぜひその結末は劇場にてご確認いただきたい。

文/山崎伸子

※塚原重義の「塚」は旧字体が正式表記