3月に行われた「横浜フランス映画祭2024」で大きな反響を巻き起こしたフランス映画『コンセント/同意』が8月2日(金)より全国公開されることが決定。あわせて、日本版ビジュアルと予告編が解禁された。

本作は2020年1月にフランスで出版され、日本でも「同意」のタイトルで出版されているノンフィクションを映像化した衝撃作。2020年1月、ヴァネッサ・スプリンゴラは著書「同意」の中で、14歳の頃、当時50歳だった有名作家ガブリエル・マツネフと性的関係を持っていた告白。さらにマツネフがスプリンゴラを含む多数の少女たちとの関係を作品の題材として利用した生粋の小児性愛者であることも告発する。芸術文化勲章まで受賞した著名作家の忌むべき蛮行にフランス中が騒然。マツネフの著書を出版してきた多くの出版社が彼の書籍の販売を中止、国からマツネフへ支払われていた文学者手当も打ち切りが決定するなど、国中を揺るがす事態へと発展することになった。

物語の主人公は文学を愛する13歳の少女ヴァネッサ。彼女はある日、50歳の有名作家ガブリエル・マツネフと出会う。彼は自身の小児性愛嗜好を隠すことなくスキャンダラスな文学作品に仕立て上げ、既存の道徳や倫理への反逆者として時代の寵児となった著名人だった。やがて14歳になったヴァネッサは彼と「同意」のうえで性的関係を結び、そのいびつな関係にのめり込んでゆく。それが彼女の人生に長く暗い影を落とすものになるとも知らず…。

本作はフランスで公開されると大きな話題を呼んだ。特に若者たちの間では“いま見るべき、知るべき作品”としてSNSでトレンド入りするなど日に日に観客数を増やし、公開2週目から前週を上回る観客数を動員。異例のヒットを記録している。

このたび解禁された本ビジュアルは、少女の顔の上半分が男の大きな手で隠された意味深なイメージが用いられている。彼女が現実から目を逸らすように男が仕向けているようにも見え、想像を掻き立てる官能的かつ緊張感みなぎるデザインに仕上がった。


また予告編では、孤独で大人びた少女ヴァネッサが、50歳の著名作家マツネフと出会い、周囲の声に反発して惹かれ合う様子が美しい恋愛であるかのように描かれている。しかし「彼女の信じたその愛は絶望に変わる」というコピーが示す通り、それは少女が小児性愛者のグルーミングの罠にハマっていく物語に他ならない。美しさを感じさせるが故に、より不穏で悪質な手口が垣間見える予告編となっている。

近年、日本でも話題にのぼることが多い著名人による未成年者への性加害。フランスで生まれた本作が日本で公開される意味と意義をしっかり受け止めたい。

文/スズキヒロシ