SF映画の金字塔「猿の惑星」のシリーズ最新作となる『猿の惑星/キングダム』が、いよいよ5月10日(金)より公開を迎える。本シリーズは、世界中に衝撃を与えたラストシーンで知られる1968年公開の第1作を皮切りに、1970年代前半に4本の続編とテレビシリーズ、21世紀に入りリイマジネーション版とリブートシリーズ3部作が制作され、実に半世紀以上にわたって映画ファンから圧倒的な支持を集めてきた。

そして7年ぶりの“完全新作”となる今作は、新章の幕開けを告げるストーリーが展開され、これまでのシリーズをまったく知らなくても楽しめる作品となっている。そこでMOVIE WALKER PRESSでは、シリーズ未鑑賞だという社員に集まってもらい、ひと足先に試写会で『猿の惑星/キングダム』を鑑賞!試写後に実施したアンケートをもとに、「猿の惑星」初心者によるありのままの声をお届けする。

■「『猿の惑星』シリーズは作品数が多いので、観るのは難しいと諦めていました」(20代・女性)

まずは『猿の惑星/キングダム』のあらすじを紹介しておこう。いまから300年後、猿が圧倒的な進化を遂げた一方で、人間たちは退化&野生化し、猿たちから隠れるように暮らしていた。そんななか、巨大な王国を築き上げた独裁者プロキシマス・シーザー(ケヴィン・デュランド)によって村と家族を奪われた若き猿のノア(オーウェン・ティーグ)は、偶然出会った人間の女性ノヴァ(フレイヤ・アーラン)と共にプロキシマスに立ち向かうことを決意。しかしノヴァは、猿たちの知らない“秘密”を握っていた。

今回は20〜30代を中心に試写会にて鑑賞してもらったが、彼らはなぜ映画史にその名を刻む名作シリーズを観ていなかったのか?今作を鑑賞する前に確認してみると、全員が口を揃えて「シリーズが多くてどれから観ればいいのかよくわからない」「これまでのシリーズを観ていないと楽しめないと思っていた」と、シリーズ作品が避けては通れないイメージが原因であったことを明かす。

「なんとなく知っていたのですが、たくさんシリーズがあるので観るのが大変そう」(30代・女性)
「作品数が多いので全部観るのは難しいと思って諦めていました」(20代・女性)

また、ほかの映画ではあまりない「猿の惑星」特有の設定に違和感があるという人も多く、「猿が主人公なので感情移入ができない」(30代・女性)、「猿同士の話が主となるので興味がわかない」(30代・男性)という声も。さらに「第1作の衝撃すぎるラストは知っていたので、シリーズ化されてもそれ以上の驚きの展開はないと思って観ていない」(20代・男性)という辛辣な意見も飛びだすほどだ。そんな彼らは、シリーズ過去作を観なくても楽しむことはできたのか?

■「映像がリアルで、においまで伝わってくる感じがしました」(30代・女性)

現代の文明がすっかり荒廃しきって森と化した世界が、冒頭から画面いっぱいに広がり、人間よりも表情豊かでダイナミックに動き回る猿たちが登場する今作。鑑賞を終えて真っ先に飛びだしてきたのは、「CGとはまったく思えなかった!」と圧巻の映像世界に一気に引き込まれたという興奮冷めやらぬ感想だ。

「VFX技術がすごすぎて、想像以上にリアルな“猿の惑星”を体感することができました」(20代・女性)
「猿たちの嗅覚が鋭いことから、エイプ、人間、血などのにおいについて触れるシーンが何度か出てくるが、映像がリアルなのでにおいまで伝わってくる感じがしました」(30代・女性)
「もはや生身の人間のほうがVFXに見えるという新しい錯覚!」(20代・男性)

本作のVFXを手掛けたのは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「アバター」シリーズ、さらにはマーベル作品などハリウッドを代表する超大作に数多く携わってきたWETAデジタル。風景の美しさはもちろんのこと、VFXで作りだされた登場キャラクターの豊かな表情の変化や躍動感あふれるアクションシーンなど、すべてが実写を凌駕するほどのハイクオリティなのだ。

■「予想していたよりも衝撃的な展開の連続で、かなりの充足感!」(30代・女性)

そして映像だけでなく、猿と人間が織りなすドラマ性の高さも見逃せない。「猿が主人公なので感情移入ができない」と話していた女性社員は、「実写の人間がほとんど登場せず、猿ばかりなのに家族との別れや絆を描くシーンではものすごく感情移入していました…」と、鑑賞前のイメージが180度覆ったようだ。さらに「予告編で予想していたよりも衝撃的な展開の連続でかなりの充足感です!」と大満足の様子。

ほかにも「丁寧に作り上げられた世界観で、猿に支配された世界が今後あり得るのかも…と思えるほど説得力のある作品でした」(20代・女性)や、「改めていま私たちが生きる地球の姿は本当に正しいのか。新型コロナが世界中を襲ったように、今後人類が滅亡の危機に晒される可能性がゼロではないんだと、自分ごととして考えさせられました」(30代・女性)と、皆あまりのリアリティに現実の世界と重ね合わさずにはいられなかったようだ。

■「悪役と思いきや、意外とノヴァよりも共感できる部分が多かった」(20代・女性)

ここからはより今作の具体的な部分に目を向けていこう。若き猿のノア、物語のカギを握る人間の女性ノヴァ、さらに敵役であるプロキシマスなど、個性豊かなキャラクターが登場するが、アンケートで最も人気を集めたのは、やはり主人公のノアであった。

人間と団結し独裁者の支配に立ち向かうという主人公としての活躍ぶりに、「感情の動きや行動がよくいる人間の男の子みたいで、すごく共感できました。でも猿ならではの身振りも随所にあって、これを人間の役者さんが演じているなんてすごすぎる」(30代・女性)、「家族や仲間を大切にする姿がとてもすてき。彼の行動や考え方で、より物語に入り込むことができました」(20代・女性)、「行動がイケメンすぎて惚れました」(20代・男性)と、皆一様にベタ褒め。

また、ほぼ唯一の人間のキャラクターであるノヴァのミステリアスさに心奪われた声も多く集まっていた。野生化した人間と暮らしているが、人間のなかで誰よりも賢い彼女が握っているある“秘密”にも驚きを味わった様子。

「野性味あふれるリアルな猿のなか、ノヴァ役のフレイヤ・アーランがとても美しく、聡明な役柄だったので目を奪われました。本当の目的が見えないけれど、勇ましくカッコいい女性だと思いました」(30代・女性)
「フレイヤ・アーランが言葉だけではなく繊細な表情と眼で感情を表現していてよかったです」(30代・女性)
「人間だから一番感情移入できるキャラクターと思いきや、なにを考えているのかがわからなすぎて怖い」(20代・男性)

さらに、“進化”は人間でなく猿を選んだと考え、人間を徹底的に排除し世界の支配を計画しているプロキシマスについては、敵キャラであるがまさかの一番共感できたと回答する人も。「独裁者ではあるが一貫性のある考えを持っていて、理解できるキャラクターだった」(30代・男性)、「悪役と思いきや、意外とノヴァよりも共感できる部分が多かった」(20代・女性)、「悪や敵だと決めつけて判断するのではなく、相手を理解しようと努めるべきだとプロキシマス自身の姿から教えられました」(20代・女性)と、プロキシマスの背景にあるドラマ性や人間味に思わず心打たれていたようだ。

ほかにも劇中には、ノアに人間と猿の歴史を伝える頭のいいオランウータンのラカや、ノアの友人であるアナヤとスーナ、プロキシマスの部下で敵兵たちを率いるシルヴァなどの猿のキャラクターが数多く登場する。それぞれのキャラクターにバックグラウンドを感じさせるような重みがあるのも本作の特徴で、鑑賞しながら“推しキャラ”を見つけだしている人も多かった。

「ラカのノヴァにも懐疑心を持たずに優しく接しコミュニケーションを図ろうとする姿がグッときた」(30代・男性)
「ひょうきんな表情だったり、穏やかな顔だったりと、各猿にしっかり個性が出ていておもしろかったです」(30代・女性)
「シルヴァの圧倒的な中ボス感が良い!猿の世界にも中間管理職はいるんだな…」(20代・男性)

■「これをきっかけに、過去の作品も観てみたくなりました」(20代・女性)

今作で「猿の惑星」シリーズに触れてみて、鑑賞前にあった抵抗感が完全に吹き飛ばされた様子。「もっとシリーズ全体を堪能したいので、1作目から順番に観てもう1回今作を観てもありだなと思いました」(30代・女性)、「これをきっかけに、過去の作品も観てみたくなりました」(20代・女性)とすっかり過去シリーズにも興味津々。

「2時間半という上映時間があっという間。観終わったあとに、感想や考えについて誰かと語り合いたくなる映画でした」(30代・女性)、「アクションもあるけれど、家族の絆に触れられる心温まる物語も魅力」(20代・女性)、「圧倒的なVFXで最先端の映像を味わえるし、王道RPGのような展開もあるのでゲーム好きにも観てほしい」(20代・男性)など、様々な視点で楽しみ没入することができる今作。MOVIE WALKER PRESSでは「猿の惑星」初心者を応援すべく、解説マンガコラムも掲載しているので、あわせてチェックしてほしい。

シリーズファンの人はもちろん、シリーズをまったく観たことがないという人も、この劇場の大スクリーンで新たな“猿の惑星”を体感しよう!

文/久保田 和馬