能登半島地震で隆起した海底を掘り下げる工事が進められている輪島港。6月末までに工事が完了する見通しがようやく立ちましたが、地元の漁師からは漁の再開にはまだほど遠いと悲痛な声も聞かれます。

漁師 沖崎勝敏さん
「歯がゆい。いつも凪になれば沖に出ていたけど、風もないのに陸にいる」

海底が最大2メートルほど隆起し、一時およそ200隻の漁船が停泊したままの状態となった輪島港では、臨時で船を移動させ3か所で海底の土砂を掘り下げる工事が進められています。

このうち、2か所の工事はすでに完了していますが、残る1か所でも来月末に完了する見通しとなりました。

しかし、漁師からはこんな声が。

沖崎勝敏さん
「しゅんせつが6月に終わるけど、船の移動する場所を作るだけ。ここを船が自分で行き来できないと漁は難しい」

漁船を通すためには、漁船だまりしている3地区の他に、さらにまだ多くの船が動けず、停泊したままの海底も掘り下げる必要があるといいます。


県はこの工事についても今後、随時行うとしていますが、輪島の漁師は港が最も活気づく11月のズワイカニ漁シーズンに間に合うかどうか、不安な思いを抱いています。

隆起した海底にどう対応するか 検討会が発足

県漁協担当者
「漁船をなくした人、家をなくした人が沢山いる。震災前よりも強固で素晴らしい漁港を作らないといけない」


こうした中、金沢では17日、水産庁を中心にこの地盤の隆起について復旧方法を検討する初めての会議が開かれました。

県内では81の漁港と港湾施設のうち、輪島港を含む23か所で地盤の隆起による被害が確認されています。

会議ではそれぞれの漁港での隆起の程度によって復旧の方法を分類し、解決策を分けることが説明されました。


検討会では7月末までに漁港の仮復旧に向けて方針や方法などをまとめ、各地自体に活用してもらうことにしています。