自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務となる中、都立学校では、今月から新たに自転車通学の際にはヘルメットを必ず着用するよう、呼びかけが強化されています。江戸川区の高校では、生徒が主体となった活動によって着用率が向上しているようです。

記者:「お昼の三軒茶屋駅周辺です。自転車に乗っている人がいます」

去年4月、道路交通法が改正され、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務となりました。しかし、東京都が去年10月に都内の駅周辺の10か所で、4000人以上に行った調査では、着用者の割合は8%にとどまりました。

努力義務となる中でも着用率が上がらないヘルメット。東京都の教育委員会では今月から、すべての都立学校に生徒の自転車通学を許可する際に、着用を条件に加えるよう求めました。

江戸川区の都立篠崎高校では、全校生徒の9割近くが自転車で通学していることなどから、去年から生徒が主体となってヘルメット着用を促す活動を積極的に行っています。

生徒会長:「ヘルメットを付けることに対する抵抗が、特に若い世代は多いと思うんですよ。篠崎高校は自転車登校が多い分事故が付き物なので、篠崎高校から(着用の大切さを)発信できたらなという感じで活動を始めました」

「サッカー部はヘルメットを付けています。ヘルメットをルーティーンに」

生徒会では、部活動と協力して啓発動画を制作。学校内や地域の交通イベントなどで流しています。また、都の教育委員会から補助を受けてヘルメットと収納するネットの無料配布も行った結果、去年4月にほとんどいなかったヘルメット着用者は現在、3割から4割ほどに増えているということです。

生徒:「事故った時とか、ヘルメットを付けてたらちょっとでも怪我とかがマシになるかなって思って付けてます」「自分の身を守る頭を守ってくれるし、なにより安全に運転できるなって気持ちができる」

校長:「教員がヘルメットを被るっていう指導をするよりも、同じ生徒発信で命を守るためにヘルメットを被りましょうという呼びかけのほうが、生徒のほうに響いていく。生徒会の生徒と一緒に生徒のアイデアを募っていきたいと思っております」

生徒会では今後、通学以外の場でもヘルメットの着用を促す取り組みを考えていくということです。

ヘルメットの着用は努力義務となっていますが、警視庁は頭部を守ることが重要だと訴えています。

警視庁によりますと、自転車事故で死亡した人の64.9%が頭部に致命傷を負っています。また、ヘルメットの着用状況による致死率では、着用している場合と比較して着用していない場合の致死率は2.7倍と高くなっています。児童生徒がヘルメットを着用することはもちろんですが、大人もヘルメットを付けることが自分の身を守るのに必要となっています。