国営諫早湾干拓事業を巡り、潮受け堤防の閉め切りで漁業被害が起きたとして長崎県の湾内漁業者らが国に即時開門を求めた第2、3陣訴訟で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は漁業者側の上告を棄却した。24日付。開門の是非を争った請求異議訴訟で昨年3月、最高裁で開門を認めない判断が確定。今回も結論を踏襲した形となった。
 裁判官全員一致の意見。棄却の詳しい理由は示さなかった。
 二審福岡高裁は昨年3月、漁業補償契約で一定の損失補塡(ほてん)が図られ、開門による干潟再生効果は限定的などとして、開門請求を棄却した一審長崎地裁判決を支持する判決を言い渡した。原告漁業者は二審判決時で諫早、雲仙両市内の26人。最高裁で弁論は開かれなかった。
 開門の是非を争って乱立した一連の訴訟では、福岡高裁が2010年、堤防閉め切りと一部海域の漁業被害との因果関係を認定。5年間の開門調査を国に命じ、当時の民主党政権が上告を見送った開門確定判決がある。だが、最高裁では19年、即時開門の第1陣訴訟など2件で開門を認めなかったのに続き、開門確定判決についても23年、国の請求異議を認めた。開門の是非を争点とした裁判は、長崎地裁で第4陣訴訟が係争中。