サッカーの第104回天皇杯全日本選手権の長崎県代表を決める第35回県選手権(県サッカー協会主催、共同通信社、長崎新聞社共催)は11日、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で決勝が行われ、三菱重工長崎が鎮西学院大に1−0で競り勝ち、2年連続11度目の優勝を飾った。
 初優勝を狙った鎮西学院大は前半7分、右クロスのこぼれ球をFW本川がシュートを放ったが、惜しくも枠外に。三菱重工長崎も31分、右サイドからのロングスローをDF岩竹が相手を背負いながらボールを収めて、振り向きざまにシュートを打ったが、ゴールネットを揺らせず、0−0で折り返した。
 試合が動いたのは後半21分。三菱重工長崎は連係で左サイドを崩すと、MF奥のクロスが相手DFの手に当たりPKを獲得。これをFW井原が決めて、そのまま1点を守り抜いた。
 三菱重工長崎のFW井原が最優秀選手、鎮西学院大のMF岳下が優秀選手に選ばれた。
 天皇杯は25日に開幕。県勢は三菱重工長崎が1回戦(25日13時・水前寺競技場)で熊本県代表、V・ファーレン長崎は2回戦(6月12日19時・トランスコスモススタジアム長崎)からの登場で、岡山県代表−香川県代表の勝者と対戦する。

◎見せた社会人の意地 鎮西学院大に1−0

 社会人の意地を見せた。三菱重工長崎が大学新鋭校の挑戦を退けて、昨年に続いて天皇杯切符を獲得。貴重なPKを決めたFW井原は「トラスタでの人生初ゴールが決勝点になって最高の気分」と笑顔を見せた。
 前半は運動量を生かして攻め込む鎮西学院大に苦戦した。裏を狙ったロングボールへの対応が遅れ、たまらずファウルで止める場面もあった。前半だけで受けた警告は2枚。守備が粘って無失点でしのいだが、リズムに乗れなかった。
 流れが変わったのは後半。ハーフタイムに根橋監督の「ロングボールを蹴り合ってはだめ。攻撃はDFラインからボールをつながなきゃ」という指示を実践してから。後半から投入されたFW平野らが前線で起点となることで、攻撃が狙い通りに活性化した。
 その攻勢が実ったのは21分。DF高橋とMF奥の見事な連係から左サイドを崩して敵陣深く進入すると、最後はクロスからハンドを誘発してPKを獲得。キッカーの井原が笛が鳴ってもGKとにらみ合い、逆を突いて均衡を破った。以降は濵本、岩竹の両センターバックを中心に強固な壁を築いて、相手にチャンスすら与えなかった。
 天皇杯1回戦は熊本の大学との対戦が決まっている。主将の奥は「経験値は自分たちが上。必ず初戦に勝って、J2清水との試合を楽しみたい」と2008年以来の1勝に闘志を燃やした。