半導体製造に用いるセラミックス製品などを製造しているクアーズテック長崎事業所(東彼川棚町百津郷)は28日、初の「出張授業」を長崎市岩屋町の県立長崎工業高で開いた。同事業所の主力製品、フォトマスク基板について生徒たちが学びを深めた。
 フォトマスク基板は、半導体ウエハーやディスプレー用のガラスに、複雑な回路を転写する際に用いる原板。講師を務めた機能部材技術担当の井添恵さんは、半導体製造用に限ればクアーズテックの基板の世界シェアは65%(同社調べ)と説明した。
 基板は光の透過性の高い合成石英ガラス製。長崎事業所ではグループ会社が手がけた原材料を板状にし、取引先の注文に合わせた大きさなどの基板を製造している。井添さんは「異物や傷が入れば、転写された回路は不良品になる」と高いレベルの品質が要求されると話した。
 生徒たちは一般的な窓ガラスと、合成石英ガラスを手に取り、透明度の高さや表面の質感などを確認。井添さんは「技術者だけでなく、事業所のメンテナンススタッフ、装置のオペレーターなど、いろんな人の力が合わさり優れた製品ができている」と結んだ。
 工業化学科3年の山上倫太郎さん(17)は「半導体製造には多くの工程があるが、一つだけでも奥が深い」と感心していた。出張授業は半導体産業の人材育成に向けた科目「半導体製造技術」の一環。24人が受講した。